矢嶋

The Strange Thing About the Johnsons(原題)の矢嶋のネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

アリ・アスターの作品はいずれも歪んだ家族観が見られるが、本作ではそれが分かりやすく出ている。むしろ、予算が限られていて尺も短いだけに、プロになってからの作品よりも直接的と言える。

近親相姦・同性愛・レイプと何重にもタブーを冒しているが、何が罪であるのか考えずにはいられない。例えば、親に性愛の情を抱くこと自体は秘匿するにしても罪ではないと言える。

加害者が被害者にも責任があると責め、いざ告発しようとすると一瞬罪を認めたり、相手が死ぬと本気で悲しんだりする。被害者はまるで自分が悪いことをしたかのような態度で振る舞う。そして、事実に気付いた妻が見て見ぬふりをする…と異様に生々しい。じっとりとした不快感はさすが。
卒業制作ゆえの粗さはもちろんあるのだが、説得力のある描写により感じるおぞましさはやはりアリ・アスターと言えるだろう。
矢嶋

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