ネブュラー

地獄のネブュラーのレビュー・感想・評価

地獄(1960年製作の映画)
4.2
新東宝エログロ路線から中川信夫地獄巡り。
現実でわちゃわちゃしながら、全員死亡からの地獄でもわちゃわちゃ。
アングラな雰囲気がプンプンに立ち込める中、あらゆる地獄の責め苦を味わされる地獄行きのみなさま。地獄での罰の時間は、はかりしれるものではないから、時間の感覚なぞすぐになくなるのだろう。まさに時間が止まったような状態なのだが、主人公1人をおいては、分かりやすい成長や決意の記号である回った時計(大車輪)にしがみつくシーンがありながら、主人公が動く気配がないところも笑える。
その希望の時計とは反対に、大勢の人間が逆時計回りにぐるぐる回り続けるシーンが地獄からの脱却を許そうとしない。
エンディングに向けた、相反する物語の力が均衡を破ろうとする瞬間、ふと現実世界に移り変わり、全員が死んでいる死体の転がりざまが映し出されのだが、なんとも滑稽。
沼田曜一のリューク的怪演は、リアリティに欠けまくるが、死神という寓意として役割を果たしていたのではないか。

そして、地獄へようこそと言わんばかりの橋でカメラが逆さまになるシーンは、ミッドサマーに影響を与えているのか?
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