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牧師といのちの崖のsamiamのレビュー・感想・評価

牧師といのちの崖(2018年製作の映画)
3.5
初めてのポレポレ東中野での鑑賞。
終了後に監督のトークあり。

目的が明確な若い夫妻が、その目的のために邁進している話。ただしきよった感じはしない。できることを精一杯やっているだけという印象。夫婦の関係が素晴らしい。ちょっと堅物的な感じの旦那さんに対してさばけた感じの奥さんがいい味。

保護した自殺志願者は撮影していた時点で900人を数えるとのこと。保護された多くのかたが生きる望みを得るまで教会で共同生活を送る。また、そこに弁当の出前もする食堂を構え、共同生活者の自立を支援している。共同生活者に厳しく言うときもある。言いたいことがまったく伝わらないことも。憤りを覚える自分に愛が足りないと悩むことも。そのままの葛藤を映し出している。

夫妻のできることはもちろん限られている。救えなかった人ももちろんいる。冒頭で保護した女性は死ぬ意志を変えることなく結局旅立ってしまった。
一旦は自立した青年が3年後に自死してしまったケースも紹介されている。
牧師は何か見逃しはなかったのか。できることはなかったのか自問する。今は青年のお母さんに寄り添っている。

この映画が何を語っているかを伝えるのはすごく難しいが、多くの人に観てもらいたい作品。
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