もりりた

行き止まりの世界に生まれてのもりりたのレビュー・感想・評価

3.5
イリノイ州ロックフォードに住むスケボー仲間を撮影したドキュメンタリー映画。愛情に飢えた少年時代と責任が伴う年齢になった今の葛藤。12年の過程で彼らの状況と関係性が大きく変化していく。

傷をえぐる様な親兄弟へのインタビューが生々しく!両親の別れや連鎖するDVへの想いを絞り出す姿は無責任と断言するには不適切で、不器用でも一生懸命だった話に不思議な共感を感じた。自由で怖いもの知らずな少年に見える一方、自分の居場所に悩み、先行き不明な街にも外に飛び出す一歩にも不安を抱えているのも印象的。彼らほど悩んだ記憶が無い自分は幸せ者だったんだろうな…

変化に翻弄されるザックに対し逆境の中ステップアップしていくキアーの対照性も気になった。希望に溢れた日常の歯車が狂い「自分が子供に悪影響」「人生が苦しいのは俺が最悪だから」と自己俯瞰する様子には辛さが滲んでいて言葉にならない気持ちに。キアーは陽っぽいが冷静に将来を見据えつつ目の前の仕事はしっかりと。要所で思い出すのは父のハングリー精神ある言葉で、愛情あればそれだけでも支えになることを実感。伝わるかはともかく大事なメッセージは発信するべきだとしみじみ思いました。

最後は行き止まりの様でも生きる術があるという救いを見たような。色々あったけど強く楽しく歩んでいる3人に勇気づけられました!
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