小松屋たから

決算!忠臣蔵の小松屋たからのレビュー・感想・評価

決算!忠臣蔵(2019年製作の映画)
3.5
最近、視点を変えた時代劇映画が盛んで、食傷気味なところはあるが、でも、次の世代へこのジャンルを受け継いでいくには必要なことなのだろうと思う。

忠臣蔵にいくらお金がかかるか、という発想は面白く、確かに兵站を考えない争いでは勝てたはずが無いので、実際に、お金の管理をしていた人たちがいたんだろうな、と想像すると面白い。そもそもの事件や人物の説明はほとんどないので、忠臣蔵に詳しい人ほど楽しめる話、とも言えるのかも。

本作は、何か労働を行って収入を上げるという発想がまったく無く、ただただ使う一方の人間たちの集まりの物語なので、最後に「これだけ残しました」と言われても特に感動が無いところが難点と言えば難点。

誰か一人でもお金を守るだけでなく増やす努力をするキャラクターがいれば、群像劇としてはより面白く膨らんでいったかもしれない。でも、まあ、現実の武士たちもこうだっただろうからそれは仕方が無いのか。

困窮や世間の一方的な期待のために討ち入りを決断せざるを得なかった、という側面は確かにあるだろう。そんな赤穂浪士のシビアな現実をバラエティ番組的に映画化するという試みは、意外に楽しめた。

ただ、豪華キャスト陣でありながら、同じ場面での共演の組み合わせが少なく、それぞれ個別に撮っていることがはっきり分かってしまうことで細切れ感が生まれているので、お祭り映画とは言え、ここまでの顔ぶれを揃えなくても良かったのではないか、とも思った。