horahuki

ザ・カニバル・クラブのhorahukiのレビュー・感想・評価

ザ・カニバル・クラブ(2018年製作の映画)
3.6
金持ち万歳!!

パーティ開いてセックス鑑賞して人肉食って「金持ち万歳!」な人生を謳歌してる資産家クラブの一員の主人公夫妻が、主催者の「はぁ?」ってなるような秘密を知ってしまう…。その秘密を死守しようとする主催者vs主人公夫妻のアホみたいなバトルが勃発するブラジル産コメディホラー。

未体験ゾーン2019公開作です。
スコアも低いし、今年の未体験ホラーの中でも全く期待してなかったのですが、めちゃ好きでした。ゲスい作品なのにオシャレな雰囲気。そしてクスクス笑えるという、センスに溢れた作品でした。

しばらく続く真っ暗な画面から晴れ晴れとした青空が広がる青い海へと映像を切り替えるファーストショットで、既にノリノリな雰囲気が出てて好きでした。

プールサイドでグラサンかけて日光浴してるマダムと、プール掃除のガタイの良い兄ちゃんのヤラシイ目線の動き。そっからの不倫セックス…かと思いきや、旦那はヤッてるとこをコッソリ覗き見してシコシコしてるという凄い絵面!実はこれが人肉を食うためのマダムと旦那の策で、ヤッてる最中に後ろから旦那が若い兄ちゃんの頭を斧でかち割るという段取り。殺す前に妻のネトラレ見てシコシコ堪能する贅沢コースなわけです。金持ちはやっぱり考えることがちゃいますね。

しかも肉がメチャクチャうまそう。肉をうまそうに見せることにかけては人肉映画史上最高クラスなんじゃないかな。見ててちょっとお腹すきましたもん(笑)

金持ちクラブの主催者は議員なんだけど、その議員が「資産家たるもの、こうあってはならない!」と資産家クラブの禁忌事項みたいなことを偉そうにスピーチしまくってるわけだけど、それを当の議員さんがヤッテるとこを目撃されたもんだから、さあ大変!となるわけです。

持つものであり狩るものでもある金持同士のバトルを一瞬だけ映るライオンとヒョウのバトル映像で暗喩するとことか面白かったし、ほぼ暗闇で構成される恐怖演出もなかなか。家へと押し入る侵入者に怯える家族という図式ではなく、終始侵入者目線で真っ暗な家の中の家族を探すという逆転の恐怖演出なのが面白い。しかも住人が強いなんてことはなく圧倒的に強いのは武装した侵入者というのが『ドント・ブリーズ』等とは全く違った独特な(笑える)空気感を醸し出してて良かった。

根底にあるのは貧富の格差の激しいブラジル社会の歪み。安心して街を出歩くことも出来ず、警察も全く信用できない。そんな中で、持たない者は持つ者の食い物にされるしかないという現状と、地の底にまで落ちた持つ者の倫理観と隠すこともなく開け放たれる汚い欲望をそのまんまアホっぽくコミカルに描いた作品って感じでした。

やっぱりブラジル産ホラーはパワーがありますね。一年以上積んでるコフィンジョーボックス×2そろそろ消化しないと…。
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