Morohashi

多数から一つへ: 私が米国に来た理由のMorohashiのレビュー・感想・評価

4.5
様々な理由でアメリカに移民としてやってきて、新たに永住権を得ようとする人たちを追ったドキュメンタリー映画。
「アメリカってすばらしい国」っていう潜在的なメッセージ性がすごい。編集がとってもうまくて、引き込まれる。

アメリカという国はもともと移民としてやってきた人たちが原住民を追い出して、幅を利かせて成立した国。
つまり今移民どうこうという以前に、そもそもアメリカという国の歴史には移民が組み込まれている。

しかもアメリカには過去に、今考えるとおぞましいアフリカとの三角貿易が支えた奴隷制の歴史がある。
その黒人たちが自らの手で権利を勝ち取ったからこそ、人権を与えることは大切だと思っているし、そのことにはとても真剣。

そのための条件として、その国の歴史を知らなければならないっていうのはすごく合理的。

移民を希望する理由として「アメリカに恩返ししたい」っていうのが結構多くて驚いた。この映画に登場した人たち、みんなうまくいけばいいなと切に願う。
その一方で、永住権を与えれば国として責任が生まれ、それが積もり積もって経済に深刻な影響を与えているのもまた事実。

移民問題に関しては軋轢は避けられないだろうし、多様性を許容する民主主義は必然的にヘイトが存在する余地を生む。
日本の未来の姿に重なるだろうし、だからこそ移民の人たちを応援したくなった。
Morohashi

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