このレビューはネタバレを含みます
二つの意味を持つUS。
タイトルやビジュアルポスターからも分かるように本作は「二面性」がテーマにある。
アメリカの社会問題を笑いとホラーで見事に描き出す才能。高度な演出、映画表現、巧みなモティーフを用いながら行う社会批判をエンタメにし得る才能に脱帽。
ピール監督の作品には、他の人には作れない味がある。
また、二面性を表現するモティーフとして、さまざまなものが登場する。
・ドッペルゲンガー
・ハサミ
・鏡
・正面から見たウサギ etc.
そして、相変わらずのキューブリックを思わせるシンメトリーな画面も、恐怖演出としてだけでなく二面性を表現する上でも非常に良い役割をしていた。
見れば見るほど現実と繋がっていき、恐怖をより感じられる。
これからは、実際のハンズアクロスアメリカの映像を見る度に、メッセージ性の軽薄さ、表面的ではないかという疑念、瞬間的な恐怖を感じてしまうだろう。
それほどに衝撃的な作品でした。