140字プロレス鶴見辰吾ジラ

映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめての140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

4.3
【スターチャイルド】

数多のフィルマークスユーザーの中でプリキュア映画レビューを真面目にアップしようというウォッチメンの観測報告であります。

「まるで降る星のようだ。」

冒頭の超新星爆発が魅せる惑星の“死“と新たな生命の“誕生“。今年は「海獣の子供」が宇宙と生命を繋げて表現してみせた中でプリキュアというコンテンツをプリキュアで終わらせないハイエモーションな映画として、そして成長譚として描いてきました。宇宙という舞台において壮大にスケールをもたらす星の子供の成長とキャラクターの過去と現在の成長、そして未来へ託す希望。たかだか70分弱で“歌“にパッケージングした尊さを神経細胞に染みこませるスマートな物語。映画としてのプレミアム感と瞬時に移動してみせる意味を組み込んだ上で、あくまでテレビ放映と差別化しつつもキャラクターを絞ることで壮大な旅行映画にもなるし、死と誕生、出逢いと別れも描ききるという巨大な重力的圧縮。星の子ユーマのテルミンのような声がスターチャイルドであるところ赤子としてのリンク性、そして儚いサウンドゆえの孤独や悲壮、そして仲間として繋がる喜びの集約が最初はインストルメントされたオルゴールサウンドに歌声をつけたところに空一面の星々、その雄弁さ。まだ幼さゆえの純粋な想いと欲望の邪の狭間がバトルから暗黒面に誘う。その中で核となる部分が想い出として煌びやかな混沌を魅せるのは旅行映画としてのプレミアム感ならぬフラッシュバック演出として再び想いを去来させる。どこまでも短時間で効率的に見せつける世界観は、中盤で大量に配置していたエモーションの弾薬を歌で起爆させ星々の花火のようなショーを展開する。詰まるところ出逢いと別れに集約してしまう物語だが、宇宙と生命を繋げ、星に命を吹き込む擬人化さえも細部までキャラクターの面影と想い出を残す。バトル描写のピンチから逆転の演出が敵のギミックの魅力に相反して畳みが早いと思いきや、本作のプリキュアというファンタジーとバトル以上の世界観なのだとクライマックスの暗黒から煌めきへと精神を打ち上げる。プリキュア映画であり、プリキュア映画にあらずとまで大仰な言い方をしてしまうが、トッド・フィリップスの「ジョーカー」の逆位置に放たれた物語の核の部分は、孤独や悲しみを背負った者のシンパシーと純粋と温かさで欲望の側への転落をよしとしない彼女たちの救済に大きなスケールを持っても応えた。惑星という抱えきれない友情の非身近性を宇宙と生命の繋がりで繋がった絆の友情と想いを馳せさせる心地の良いラストシーン。ヴィランの闇を利用して描いた「ジョーカー」の闇への誘いとは正反対に無垢なるプリキュアという少女と観測した新たな希望の誕生に胸を震わせなさい!