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父から息子へ ~戦火の国より~のabtのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

シリアの過激派組織「ヌスラ戦線」に属する父と息子たち

憎しみの連鎖、と紹介文に書かれていたけど、
そこに憎しみはあるように見えなかった
感じたのは、選択肢がない子どもたち

そうなるべき、という父親の愛に隠れた思想についていって、認められたい褒められたい、みたいな感情の中で頑張ってたら戦線は目の前でした、って見えたよ

紹介文で、兄弟の中で戦場にいく子と勉学に励む子に分かれる、みたいなことが書いてあったけど、
映画の中では、優秀な兄が戦力として評価され戦場に行き、集中力がないと評された弟が残って勉強する
(弟が計算して行った結果ならすごいけど)そこにはどちらも選択肢はなかった、やりたいと強く願って行き着いた先ではなかったように見えた

兄は、イスラム教に苦言を呈していた時期もあったのに、銃声に怯えず、着々と訓練を積むように。本人の意図はわからないが。

混乱するのは、父が息子たちに注ぐ愛、父が左脚を失ったときに響き渡る息子たちの泣き声、
人が傷つくことを恐ろしいと思う中で、息子たちは"父が殺したように"小鳥を殺してきた、と言う

見ながら思ったのは、戦争は始まってしまうと自分の身と主張を守るためには戦うしか方法がほぼない
そうすると戦争を起こさないようにするっていうのは本当に大事。
そして、始まってしまった時、誰が一番悪いのか?と考えると、私の考えでは「先に手をあげた方が悪い」になる。殴る理由が相手にあるかどうかは別として。
暴力以外の選択肢で戦ってほしい、ということ。
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