OASIS

ああ爆弾のOASISのレビュー・感想・評価

ああ爆弾(1964年製作の映画)
4.3
3年ぶりに刑務所を出所したヤクザの男が、家をのっとった政治家に爆弾を使って復讐を果たそうとするという話。

舞台の幕が上がるオープニングから狂言のような歌や踊りが始まり、その後も所々でミュージカル調に変化したりと白黒作品であるのにとても実験的で観たことのない映像の数々が盛り込まれた不思議な映画でした。

ヤクザ側では能、狂言といった和風な音楽、議員側ではジャズやポップといった西洋風な音楽で区別され「ヨオ〜!」というお囃子や鼓のポンポンという音がとめどなく流れる中で俳優が芝居をし、また別の音楽も流れ始めるという珍妙な空間となっている。

伊藤雄之助の目ん玉をひん剥いた顔面力や子分の太郎のすかぽんたんな演技なども可笑しく、議員が大切にしている万年筆に爆弾を仕込む為に奔走すると喜劇としても十分楽しめる内容になっている。
しかも、結構などんでん返しもあって、おちゃらけていた部下の太郎の事態を把握する能力や切り替えの速さに恐怖を感じる部分もあり。

悪事を働くものは必ず自分の元へとそれが返って来るであろうというようなメッセージも感じるが、それささておき奇妙奇天烈な映画には違いないのでそのハチャメチャ具合を楽しむくらいが丁度良いのかもしれない。

白黒+ヤクザ+ミュージカルというジャンルごちゃ混ぜの、古くて新しい映画だった。
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