らんら

燃えよ剣のらんらのレビュー・感想・評価

燃えよ剣(2021年製作の映画)
4.2
もっと長くていい!!

説明が少なかったり端折ったりされている部分が多いので、原作小説を読んでないと楽しめないかもしれません。

新選組の始まりから終わりまでを全て描いているので尺が足りないのは仕方ないのですが、この場面いる?っていうところが幾つかあるのに、重要な伊東甲子太郎との攻防がかなり端折られていたり、終盤にかけての展開が目に見えて駆け足になっているのが勿体ない。
尺の都合を考えると、お雪か七里研之助のどちらかにした方が良かったんじゃないかな?って思います。
特に七里はかなり中途半端な描き方がされていたのでこれなら出さない方が良かったかも。

そういった勿体ないところは幾つかありますが、それを差し引いても、新選組のファンは満足できる作品になっていると思います

この映画の最初から最後まで「死」を匂わせる重い雰囲気が凄く好き。

映画だからこそできる演出にも感動させられました。

映像と構図はスタイリッシュながら、殺陣シーンの熱気は凄まじく、その場に立ち込める空気が伝わってくる程の臨場感でした。

血なまぐさくて汚くてグロテスクで、役者の演技も相まって凄く生々しい。

何より新選組を美化せず、残忍で荒々しい面や愚かな部分も忠実に描いているのがすごく良かったです。武士と言うにはあまりにも荒削りすぎる感じがとても新撰組らしかった。

昨今、新選組をやたらとヒーローっぽくかっこいい感じで扱って創作されることが多いですが、この映画では主人公サイドなはずなのに「これ以上はやめて!」と観ていて思う程怖くて、凄くヒールっぽくて、そこがまたかっこよかったです。

キャラクターもみんな魅力的で素敵。特に山崎烝や源さんのキャラが面白くてすごく良かった。キャスティングも完璧です。

岡田准一演じる土方歳三や、鈴木亮平演じる近藤勇はビジュアルも雰囲気も親和性が高いので元々合うだろうなとは思っていました。

が、山田涼介演じる沖田総司には驚かされました。正直鑑賞前は不安でしたがいざ観てみると凄くハマり役でびっくりです。
あの髷の似合ってなさがより沖田らしい。
死の直前のシーンでは彼の演技に鳥肌が立った程です。



泥臭くて儚くて、ロマンのある新選組がまた好きになりました。
らんら

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