初マンゴー。インディージョーンズがクソだと聞いたので心配でしたが、これはよかったです。
「フォードvsフェラーリ」がいい意味でタイトル詐欺で、空虚な企業間の空中線の中に息づいている職人の呼吸を静かに捉えた映画でした。
壮絶なカーアクションというよりも、「肉体が車体から分離する」というレーサー視点のテーマを、車が地面に吸い付くようなローアングルと、車載カメラの主観視点による、あえて速度を落としているのに体感の速度は全く落ちない演出が、こちらのスリルを削がないにも関わらず親切設計で、とてつもない没入感を実現していました。
それでいてスローモーションをあまり使っていないのが凄く、それによってこちらが一瞬でもケンの速度に追いつきやすいようになっていたからか、フェラーリを追い越す加速のところで、車体は生き物であるという表現が臨界点に達していたのは、車とはあまり縁がない自分でもよく分かりました。
ただ、ホームドラマパートは普通のハリウッドと言った感じで特に面白くはありませんでしたし、全体的に色味がツルッとしていて、なんかいかにもデジタルって感じの彩色には少々萎えてしまいました。VFXの溶け込み様は、「エドガルド・モルターラ」のカスCGを見たばかりなので流石ハリウッドだなと思いましたが笑
あとこれ、実は航空機マニアにも嬉しい映画だったり?と思いました。詳しくないから知らないですが。
今は亡きパンナムやTWAが映っていましたね。
空港で、飛行機の光がレースの影を作っていた演出も素晴らしかったですし、なんといっても滑走路の切り返しがまたなんとも言えない嵐の前の静かなムードを作り出していました。立派な空港映画でもありますねこれは。そんなジャンルあるのかわからないけども。とりあえず「エアポートシリーズ」でも観ろってことか。
解説員を露骨に使わず、息子にサラッと実況させる脚本も見事でした。