ペコリンゴ

寄生体XXX/スキンウォーカーのペコリンゴのレビュー・感想・評価

3.2
記録。
「私は何なんだ?」

これはなかなか変わった視点のSFスリラー。でも寄生体って邦題はウソっぱちですよね。配給さん、正しい日本語を使いましょう。

本作の主役は恐るべき生態を持つ生命体。その生態とは、殺した人間の姿形ならびに記憶を受け継ぐといったもの。何も趣味で殺人を犯しているわけではなく、手に入れた体は放置すると腐っていくため、その都度新たな体を手に入れる必要があるって寸法だ。

英語圏では、姿形を変える性質を持つ者を「シェイプシフター」というらしい。前述のとおり、本作における変身の方法は対象を殺してコピーするというものだけど、この時点で「寄生体」とは言えないのではないでしょうか??寄生とは共生の手段であって宿主無くしては成立しないんだから。

そんなツッコミはさておき、
本作の変わっている点は謎の生命体を恐怖の対象としてではなく、自身のその生態のせいで苦悩する存在として描いているところでしょうか。

思えば、誰かになってみたい願望って誰もが一度は持つでしょうけど、それって自身のアイデンティティがあるからこそだと思うんです。自分が何者か分からないまま誰かになるだなんてちょっと悲しいかな。

ふざけた邦題とは裏腹に、真面目でちょっと哲学的な映画でした。