阪本嘉一好子

Free Men(英題)の阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

Free Men(英題)(2011年製作の映画)
5.0
1939年パリで、モロッコ、アルジェリアからの移民(西端部のマグリブ地域)が増えてきたがその後、ドイツのフランス侵略によって、移民は自国に帰って行った。しかし、その中で、それらの国々からのパリに残って、フランスのレジスタンスと共に歩んだアラブ移民の生き方を描いた話。主役のヨネースYounes( Tahar Rahim)は架空の人物らしいが、パリのモスク Grand Mosque of Parisを立ち上げたてSi Kaddour Benghabrit,は多くのユダヤ人を迫害から救った 祭司のトップ(rector) は実在の人物らしい。それに、迫害にあったアルジェリア出身の歌手、Salim Halali(母親がユダヤ系)も。
映画の最初はヨネースYounes( Tahar Rahim)の存在は自分の身を守るためドイツの将校との取りひきに応じるという裏切り者を演じるし、アルジェリア移民でも、ナチスに危機感を感じていなかったと思う。レジスタンスはここでナチスの侵略を止めないと明日は我が身(アルジェリアが侵略)と考えていたのに。アルジェリアのモスラム教の祭司のトップSi Kaddour Benghabritにもナチスの犬だと初め思われてしまう。
だから、好印象を受けず、右でも左でもなく優柔不断のように見えたけど、後半で自分の主張が直接に語るわけでもないが彼の動く方向が見えてくる。このイエスでもノーでもなくはっきりしないヨネースがユダヤ人を救うために貢献する。歌手サリーム(Mahmud Shalaby)というユダヤ系アルジェリア人も彼によって命を落とさずに済んだ。

ここからサリームにフォーカスをおいて書きたい。彼は、失礼だが、悪く言えば音楽バカで、ナチスのフランス侵略で自分の命が危なくなるという現実を把握せず、Mohamed Abd El Wahab https://www.youtube.com/watch?v=-HuFRPqE8pEn という彼の尊敬する歌手がキャバレーに来たので、その音楽に聴きいっているため、ヨネースの警告も上の空。
Salim Halali  https://www.youtube.com/watch?v=jd0Ub5ARXk4 はパリのキャバレーで歌っているところをナチスにとりおさえられ、ユダヤ人ではないという証拠を迫られる。そして、父と称する人が眠っていると設定されたモスリム の墓場へナチスと共にいく。。。跪く。。ここが圧巻。

彼はモスリム教の祭司のトップとアルジェルアからのフランスレジスタンスによってすくわれるが、当時もすでに有名な歌手だったらしく、彼の命が救われたことでアンダルシアクラシック音楽を構築する力になった。
それに、サリームは注目を集めるハンサム(?)な歌手。女性にも甘い言葉をかけてキスをし女ったらしのようにみえる。
彼の名前をしらない人はいないくらい有名だったらしいが、ホモセクシャルで(史実はカムアウトしていたらしい。)

徐々にユリーシャスとお互いの惹かれあっていくシーンがうつくしい。


このサリームをMahmud Shalaby(A Bottle in the Gaza Sea,Jaffa, テレアビブの女たち、The Other Son )が演じる。私は彼のほかの作品を鑑賞しているが、かれはエジブトの縦笛Kawalaを吹く。https://www.youtube.com/watch?v=PO7A1VbyQTc
(The Other Son で本当に吹いてる)、パレスチナ人のイスラエルのスターだ。それに、ラップ/ヒップホップ MWRのグループのメンバーで https://www.youtube.com/watch?v=FY82h9LzBrk 反体制の曲を作ってうたっているから興味があるが、不幸にも主にアラブ語で歌っている。音楽の才能のある人は語学に向いているから、彼はフランス語、ヘブライ語、それに、英語も話す。個人的感想だが、英語の音は大変によく、アラブ語の干渉がとても少ない。この映画でSalim Halali役で歌を歌うが、これはダブだとネットで読んだ。


パリ解放後、最後のシーンで、ユリ-シャスはサリームを探しに彼が歌っているキャバレーに行く。サリームはヨネースを見つけるとお互いに釘付けになって見つめあい映画は終わる。字幕が、サリームがパリに自分のキャバレーを開く。そして、彼は、ヨロッパで北アフリカ音楽のアイコンとなると。。。