近年の中国映画の勢いを象徴するような壮大なスケールのSF超大作。
中国映画のイメージを覆すハリウッド映画もかくやの圧倒的ビジュアルは確かに凄い。
お話自体は少々古臭く、英雄の自己犠牲で地球は救われた的な毎度お馴染みのパターンで、登場人物も役割に当てはめたピースのように無個性で魅力に乏しい。
映画前半の地球エンジンの着火石を運搬する下りは少々ダルく、スクリーンに映し出される凍りついた大地のように観客の心を中々熱くさせてくれない。
だが、映画後半で地球エンジンの噴射で木星の大気を燃やす作戦でようやく映画自体もエンジンがかかってくる。
ベタな展開ではあるが、地球消滅の危機に撤退していた大量のトレーラーがヒロインの演説を聞いて一斉に引き返すカットと、人力の起動装置の元に世界各国の救援隊が駆け付けるシーンの力強さには思わず涙がこぼれた。
部分部分ではよいところもあるのだが、この映画にイマイチのれないのは、やはり中国の自己主張が強すぎるからだろうか。(中国映画なので当たり前なのだが)
地球規模の危機の割に中国以外の国はほぼ何もせず、最後に地球を救うのも(独断専行でお馴染みの)ウー・ジンたった1人で、ちょっと中国自重しろよと思ってしまった。
国際色豊かなキャストを招いて、各国の見せ場を増やして中国人キャストをもう少し減らせばこの違和感も多少は軽減されるのだろうが、それをやってしまうと単なるハリウッド映画になってしまうので中国市場に向けた中国映画としてはこれで正解なのだろう。
しかし、アクションのない超大作の主演も務めてしまうとは、ウー・ジンも大スターになったんだなあ。ちょっと感慨深い。