竜平

ナイル殺人事件の竜平のレビュー・感想・評価

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)
4.2
名探偵「エルキュール・ポアロ」が難事件に挑むシリーズ第2弾。今回はエジプト、ナイル川を下るツアー船にて殺人事件に遭遇、果たして犯人とそこに隠された真相とは、という話。

『オリエント急行殺人事件』から続くアガサ・クリスティ原作のミステリー映画化シリーズ。引き続き監督・主演がケネス・ブラナー、相変わらず風変わりなクセあり探偵を好演。前作にも出てたトム・ベイトマン扮する親友「ブーク」に加え、他にも今回はガル・ガドット、アーミー・ハマー、アネット・ベニング、『ブラックパンサー』にも出てたレティーシャ・ライトなど出演。前作はテーマが「正義と悪」的な感じだったけども、今回はズバリ「愛」。メインの夫婦と友人にはわかりやすい愛憎模様、女富豪を取り巻く者たちには遺産絡みの問題や金の匂いなど、更にそれぞれが語る愛についての話や、何気ない行動やセリフというのもありつつ、前半が丸々伏線となってくる。まぁ事が起きるまでちょい辛抱かな。なんなら舞台もすぐにナイル川や殺人事件へと移行するわけでなく、とにかくじわじわと進行していく。もちろん「誰が犯人なのか」もそうだけど、「誰が殺されてしまうのか」もじつはワクワクを誘うところだったり。

思い返せば思い返すほど怪しげなシーンというのが至る所にあって、みんな犯行の動機となりそうなものがあるし、あと個人的には『オリエント〜』のオチのパターンも見たしで、際の際まで読めないこの展開は本当に見事だったなと。二転三転はしていくけども突飛でなくしっかり理屈に合うというか筋が通るというか、で結末までバッチリ見入ってしまった。意外性とかでなくそこまでの道筋が素晴らしくて、どんでん返し頼りになってないのも良き。そんで前作と今作と共通だけど、主人公の成長的なとこにも行き着くってゆー。なんやかんやポアロ自身の話にも繋がるあたり、推理ミステリーでありながらヒューマンドラマとしても存分に楽しめたというところ。安定のシリーズになりつつあるんじゃないかな、次回作も非常に楽しみ。
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