しらすごはん

アグネスと幸せのパズルのしらすごはんのレビュー・感想・評価

アグネスと幸せのパズル(2018年製作の映画)
3.8

ジグソーパズルもスポーツ!

だと思って観てました。

ヒューマンドラマの佳品です。

スポーツというのは、その人が輝ける真剣な遊び。

それを見つけた主婦の物語です。

アルゼンチン映画のリメイクとのこと。

ジグソーパズル競技の世界大会もあるのですね。


主人公アグネスは、夫と2人の息子とともに暮らしていました。

彼女は、敬虔なカトリック教徒。

彼女は、家族の世話や家事に明け暮れています。

買い物と教会の集まり以外に、外出をほとんどしません。

彼女の誕生日から物語が始まります。

誕生日プレゼントのなかに、1000ピースのジグソーパズルがありました。

プレゼントのなかにあったiPhoneには興味がなかった彼女ですが、パズルには惹かれます。

そして、1000ピースをパズルを、ささっと完成させました。

彼女は、数学が得意で卓越した空間把握力を持っていたから。

彼女はパズルに熱中します。

新しいパズルを買うため、ニューヨークの街に出た彼女は、たまたまパズルのパートナーを募集しているチラシをゲットします。

募集していたのは、大会を控えたパズルチャンピオン王者ロバートでした。

彼とペアを組んで大会出場を目指すことでアグネスの視野は広がりっていきます。

ともなって、家族との関係にも変化が現れていきます。

夫や息子たちは、彼女の自我の変化に戸惑います。

それまで、黙って家族に尽くしてきた彼女しか知りませんでしたので。

アグネスは良き母親、良き妻として振る舞ってきました。

優しく有能な人物です。

でも、何か満たされないものを抱えてきました。

結婚していなかったらあり得たかもしれない過去、得意だった数学を学べた可能性について思いをはせます。

夫も息子たちも好人物。

ただ、彼らのアグネスを傷つける無意識の悪意も描かれます。

(夫も息子も、自己中でモラルハラスメントを繰り返すステレオタイプの人物ではない)

(ちょっと反省して行動を修正するところも生々しい)

(多分、iPhoneの着信音の設定をしたのは息子だと思うけれど、母の人柄を表すかわいらしい音になっていた)

すったもんだの後、彼女はパズル大会に優勝し、ベルギーの世界大会に出場することになります。

そして、家族と思い出の湖畔で過ごした後、彼女が向かった場所とは…


ジグソーパズルの競技性や真髄を解説するシーンはほとんどありません、

ただ、「現実は混乱しているが、パズルは最終的に正しい答えができあがる。ひとつの世界をコントロールできる」云々と語られてました。

ADHDの治療の一環に、ジグソーパズルが導入されていると聞いたことがあります。

確かに、ジグソーパズルは、混乱した状況を制御する癒しにもなるのですね。
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