悠

ミッドサマーの悠のレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.8
2/21公開のヤベー映画。
予告を初めて観た時から楽しみにしてたんだけど、
公開前にホラー映画って噂を聞いてちょっと戸惑いが…
ヘレデタリーと同じ監督さんなのね…
ホラーは苦手なのです。
でも監督が「ホラー映画じゃない」って言ってたので
それを信じました(笑)
でも鬱病の人は見てはいけない映画だと思います。

確かにホラー映画ではないと思いました。
(オ)カルト映画ってところかしら…
カルトっても「悪しき集団」ってのと
ラテン語の崇拝・礼拝や、元来の儀礼・祭祀って意味も含まれる感じかな
この映画は見る人の視点や精神状態によって
凄く変わると思います。
私はどっちかと言うと文化・伝統と価値観の違いって
視点で観てました。
精神状態は正常なのでなんの影響も受けてません。
不安にもならないし、セラピーにもなってません。
監督が「皆が不安になるといいな」とコメントしていたり
彼女にフラれた状態でこの映画を作った事を考えると
精神的な不安と共感みたいなものがテーマだとは思います。
だかしかし、私は鬱や精神的に限界になった事が無い(なる前に逃げ出す事が出来る)ので
共感は出来ないと最初から思ってました。
その通りでした。

精神云々は置いといても謎やギミックが多いので
パンフ欲しいです。売り切れてます。Oh...
ルーン文字も勉強したい~
グロいシーンもありましたが、あれは人形だって分かる感じなんで
私は平気でした。
R15にするためにモザイクかかってた部分は笑うところです。
ってか、そのシーンよりも内容的にR18なんじゃないかしら…
精神衛生上の問題で(笑)


※以下 ネタバレを含みます。※
長いよ。


1.色彩
冒頭とアメリカにいる間は暗かったり、薄暗いシーンが多くて
昼に外に出る描写が無い。
それがスウェーデンに着くなりずっと昼。
目がチカチカするよね。
でもホルガでも分かりやすく不安や悪いことをしてるシーンは暗いので
割と分かりやすかったです。
花の色も最初は淡くて、服も白がメインで
淡いブルー程度だったのに
最後には原色の花々に包まれたダニー。
包まれたってか埋もれてたけど。
色彩はダニーの心理状態とリンクしているのだろうか…

色関係で一番ゾクゾクしたのは、
クリスチャンを誘惑した女の子が最後ルージュを引いてたこと。
ホルガの女性はほとんどスッピンなのに、
クリスチャンと交わった後、誇らしげに化粧をし、
服に赤い色を広めに入れてたのも対比が凄かった。
しかし、その「ダンナ」が生贄に選ばれて死ぬってのに
微笑んでたんだよ…怖
彼女にとって必要なのはクリスチャンじゃなくて種なんだろうな…

それにしても原色って暗めの色より狂気を感じるね。


2.麻薬
欧米って本当に麻薬が蔓延してるんだなってのが分かりますね。
ホルガの麻薬はより強い感じなのかな。
マークは常飲してる感じなのにそれでもだいぶトリップしてた。
その感じを観客にも伝えようと画面が曲がったり
幻覚を見せたりしてたけど、一番不気味だなって思ったのは
花が動いてたのです。瞬きしてる…
監督も麻薬やったことあるんだろうな……
やったことない人間には世界がどうなるか分らんもん。

3.アメリカ人とイギリス人
最初から片道切符だったのね…
マークは出てきた瞬間から「こいつ死ぬな」って思ったけど(笑)
コニーとサイモンは痴情のもつれでイングマールが選んだのかしら
そしてイングマールは生をやり直す為に最後立候補したのかな。
サイモンが最も残虐な方法とされる姿になってのが恨みだよなと思いました。
ジョシュの足はスケキヨかよって思いました。
死体は全部人形っぽかったので怖くはないけど、
皮を剥ぐシーンがあったらちょっと見てられないかも…

4.ホルガ
日本にもあるだろう秘密のコミューン。
異質な要素といえばやはり白夜だろうか。
完全な形ではないけど、私も夏の北欧に行った事があるので
夜の22時位まで明るいのは経験したことある。
暗くと言っても薄暗い程度。日本で言ったら夕方。
3日くらいの事だったけど、あれは慣れてないと体が狂う。
特にホルガには時計とかテレビとかなかったので
余計に日数が分からなくなるだろうな。
スケジュールは村の人に言われるがままなので…
それだけでも精神的に不安になりそう。

もし自分がホルガの人間だとして、この90年に一度の祝祭の年に
72歳になってたとして、この儀式に選ばれるとしたら
これ以上ない幸せと栄誉なんだろうなと思いました。
それをいきなり見たおそらくキリスト教徒のゲスト達には
全く理解が出来ないんだろうな…
実際には人が目の前で潰れたら正気ではいられないですけど。
案内人であるペレやイングマールがそれを事前に説明しなかったのは
それを説明しても理解が得られない事、
むしろホルガに来てもらえないだろう事が
外界の常識を学んだ上で分かっていたからだろう。
ホルガに入れてさえしまえば…地理的にも出れないし、
ヤク漬けにしてしまえばどうにでもなる。
気になったのはこの身投げのシーンにマークがいなかったこと。
ここ、カットされたのかな?

身投げの前に石碑に血を捧げるシーンめっちゃ良い…
これぞ!って感じ。

5.家族と共感
カルト集団が自分たちを家族として
生活してくのは最早王道ですね。
ホルガはそれに加えて「共感」ってのが大きいのかなって思いました。
身投げの儀式の時、男性が即死できなくて
苦しんでる時に見守ってた住人が
口々に叫んでいたのを私はちゃんと遂行できなかった非難だと思ってたけど、
あれはあの男性の痛みを共感してたんだね。
メイクイーンになったダニーが取り乱した時
ホルガの女性たちが共感してたのを見てやっとわかった。
あと、あれはホルガの民と認められないと
逆に共感してもらえないのかもしれない。

処女喪失の儀式も新しい血、家族の為なんだけど
そこに旦那は必要ではないのね
皆が家族だから個としての旦那っていう存在は要らない、と。
子育てとしてはそれはそれで現代社会の問題に対応してるのかもしれない?
女の子の名前忘れちゃったけど、
クリスチャンが生贄に選ばれて焼かれる時
物凄く誇らしげな顔をしていたので
あの祝祭で命を捧げる人は物凄い名誉でもあるのかな。
輪廻転生の考え方だと「クリスチャンは私の子供として生まれ変わるの」って思ってるのかも。
しかし、儀式をやる時のクリスチャンに飲ませた麻薬、
はちゃめちゃに強かったのでは…
あとあんな状態でやるの無理すぎる。
あのシーンはギャグですよね!?(笑)
めっちゃ笑ってしまった…
で、R15にするためのモザイクがまた…
ディレクターズカット版、気になります(笑)

ペレの両親も炎に包まれて死んだって言ってたけど、
代替的な祝祭は無いとしても
1年に一回は生贄の儀式やってそう。
じゃないともっと72歳以上いるじゃんきっと。


最後のダニーの笑顔は今まで観てきた映画の中で
一番鳥肌が立ちました。
あれを恐怖とするのか、幸せな終わりとするのか
私には判断が出来ませんでした。


知識が無いので考察ってレベルの話は出来ないけど、
色々考えるのは楽しいですね。
監督の解説も気になる。
パンフ…
もう一回観たいけど誰かを誘うことはなかなか難しい(笑)
同じく二回目の人を探すしかない。
悠