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82年生まれ、キム・ジヨンのmiyuのレビュー・感想・評価

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
3.0
自分の本当にしたい生き方というのはどういうものなんだろう。
社会から断絶された状態で、無機質なモノに囲まれて生きることは私にはできない。
どれだけ優しそうな人の中にもこれまでの人生ではめこまれてきた価値観のようなものが既にあって、そこに対する反発が生じることはある種仕方のないところもあって。
いろんなことを、飲み込んできたし、折り合いをつけて来たし、抑え込んできて、ふとしたところで本当の自分の望みをかなえようとしても、どれが本来の自分の望みなのかわからない。
たどりついた現在について、全面的な否定や絶望があるわけではない。
逐一、浮ついて、絶望して、折り合いをつけて。
ほんとうに必要なことはなんなんだろう。
広告会社の仕事ですら、自分なりの折り合いの結果であるということに気付いたジヨン(?)が、最後小説の仕事をしているというのがよかった。
小説を書こうとするような人だからこそ、自分の生活の中に、他者の声を引き入れることによって自分を支えて生きていて、そのようなことの想定の中においては、とりついたようにその他者がその人によって現れることは、それほどまでに異常というか、変わったことではないように感じた。多かれ少なかれ、あのようなことをして自分を救っている人はいるだろう。それが他者に対しても影響を及ぼすような、自分の外に出る表現として表れるかどうかの違い。なぜジヨンにとってのそのような救いは、自分の外に出て人にも見られるようなものとして生じたのだろうか。自分の認識を変えるだけでは十分でないような問題が生じているからこそ、そのそれぞれの他者にとってもっとも心を動かされやすいような人の口を借りることによって自分の環境ごと救おうとしたのかもしれないと思った。
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