エアール

スケアリーストーリーズ 怖い本のエアールのレビュー・感想・評価

3.7
わたしたちが本を読むのではなく
本がわたしたちを物語る、、
そんなバカな…と思いたいところですが
あるんですね〜そんなことが、笑

古めかしいその本を手にしてしまうと
白紙のページになんと
自身が主人公である物語が勝手に書き加えられていき
その内容がまさしく現実のこととして起きてしまう、という
なんともおったまげなことがね。
自分の思うがままの内容を書き加えていけるのなら
これぞ”魔法の本”として大活躍するところなんですが、
残念ながら自分の好き勝手な内容が書けるわけではなく
本に書き加えられていく物語は
どれもこれも悪趣味な怖いお話ばかりでございます。
こどもが読もうもんならトラウマになるのはもはや避けられない、
容赦も手加減も一切なしのストーリーがこれでもかと
書き綴られているようです。

さて原作は
児童書としてなにかと物議を醸した
アルビン・シュワルツのスケアリーストーリーズ!!
想像力を刺激する、ある種ファンタジーの要素も損なわず
読み進めればじわじわとやってくる恐怖と
着想の面白さ、散りばめられたユーモアなどが相まって
今や年齢問わずで読者に愛され続けている人気シリーズとなってます。
心理的に働きかける作用といいましょうか、
怖いけれども引きつけられてしまうあたりが
本作のひとつ大きな魅力でもありますね。
ギレルモさんも本作に携わっているとのことで
いかにも好みそうな作品だな〜と
率直に思いました。
とくに挿絵として本に登場する異形の怪物たちの再現性、
その点には並々ならぬ思い入れがあったようで、とにかく”忠実に”しようと
かなりこだわったようです。
その甲斐もあってか
本編で登場するキャラクターたちは
一度その姿を見たらなかなか頭から離れない、
つくりも凝っていて、濃いキャラクターばかり
狙いどおりかもしれません、笑


1968年、
ペンシルベニア州のミル・ヴァレー
ハロウィーンの夜
仲良し3人組、ステラ、チャック、オーギー、
それからワケありでこの地へとやって来た新参者の青年ラモンは
良からぬ噂があとをたたない最恐スポットとして
地元人に知られている幽霊屋敷へと
足を踏み入れる。

そこは19世紀後半に
地元で盛えていた製紙工場の重役とその家族が住んでいたとされるお屋敷なのだが、
持病をもつ娘の存在を恥に感じた両親や兄弟は
娘(妹)を誰にも会わすまいと
まるで彼女の存在を隠すかのように屋敷内のどこかに監禁しているのだとか。。
たちまちその話は
町のこどもたちの間で広がり
誰も見たことがない娘の姿をひとめ見ようと
屋敷へ足を運ぶこどもたちに
娘はよく壁越しに物語を読み聞かせたそうな。。

程なくして
こどもたちの謎の失踪が相次ぎ
件の娘も屋敷内で首吊り自殺を図り
その後屋敷の住人や召使も忽然と姿を消すなど
今やその朽ちた家屋が
何人を寄せ付けない独特の空気を漂わせながらも
その場所にひっそり建っている。

屋敷内を探索するステラたちは
開かずの隠し部屋と娘の名が刻まれた古びた本を発見する。
作家を夢見るステラは
本のことがどうしても気になってしまい
良かれと思い屋敷から持ち去ってしまう。
それをきっかけに
本に関わってしまった若者男女に
底知れぬ恐怖が襲いかかることになろうとはその時はまだ知る由もない…


帰宅したステラは
早速自室で屋敷から持ち帰って来た本を開く。
本にはページ単位で完結するいくつもの物語が記されており
それらはどれも身の毛もよだつ内容ばかり。
しかし物語が書き記されているのは途中までで
以降白紙ページが続いていることに気がつくステラ。

すると自分の目を疑うことが
目の前で起こり始める。
白紙のページにひとりでに文字が記されていき
新しい物語が書き加えられていくのであった、、

カカシのハロルド、
失くした足指を探し求める遺体の女、
赤い点と湧き出る無数のクモ、
赤い部屋と醜い女の悪夢、
驚異の軟体怪物の襲撃、などなど。。


夜が訪れるたび
血文字でひとりでに書き加えられていく物語。
一度始まってしまうと
ページを破り捨てようが、本そのものを燃やそうが
なにをしようとも阻止することはできない。
そして書き加えられていく物話の主人公は幽霊屋敷に足を踏み入れた若者たち
ひとりひとりであることに気付くステラたちであった。

本の主人公となった人物が
次から次へと行方不明となり
遺体も見つからず
本がもつ呪われた力に圧倒されていくステラたち。

このままではみんな消されてしまう…
友達がひとり、またひとりと消えていく最中
本の呪いをどうにかとめるべく
もとの持ち主である、自殺した娘のことを
調べ始めることにしたステラたち。
すると
彼女に関する隠された事実に行き当たり…
エアール

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