クシーくん

デッド・ドント・ダイのクシーくんのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
4.0
笑った。終盤我慢出来なくなったジャームッシュおじさんによる、トム・ウェイツを介した説教(地の文)が入るのストレート過ぎる。生前レイ・ブラッドベリもインターネット大嫌い宣言してたけど、ジャームッシュもスマホとか嫌いなんだろなあ。
伏線色々張るけど全然回収する気も無いし、風刺とは無関係に、思わせぶりな設定を持ち出してきて何の意味もないとか自由にも程があるだろ。ティルダ・スウィントン使ってやりたい放題だな。

まともなゾンビ映画を期待した人や、「ゾンビランド」みたいなコメディを期待した人は怒るか呆れるだろうが、まあジム・ジャームッシュにストレートなゾンビ映画を期待する方が悪いし仕方ないよね。死体を見に行くの三回も天丼するの笑う。なんだよその車。アダム・ドライバー最高だな。ビル・マーレイとの掛け合いはいつまでも見ていられる。

消費社会に毒された人類はゾンビになってもスマホを求め、wi-fiを探し、嗜好品を求める。生前の理性を取っ払うと、本能しか残らなくなる…と言いたい所だが、生きてる時から理性なんかあったのか?死ぬ前からお前らスマホゾンビだっただろと言わんばかりの、痛烈な風刺は余りにも直球過ぎるが面白い。モーテルのおじさんがクリーブランドゾンビになってたのは笑った。
しかし本作が公開された2020年、世の中はコロナ禍パンデミックまっさかりで、正しくゾンビ映画のような状況だと私自身不謹慎にも感じていたので、当時これを観た人々は何かしら心に刺さる物があったんじゃないかしらん。知らんけど。

あんまりにもあんまりな映画だが、ロメロのNotLDやDotDへの真摯なリスペクトが随所に感じられたのは嬉しい。
それ以外にも、ナーディなネタや、ジャームッシュファンなら分かる小ネタなど作中頻繁に使用されているようだが、そうした枝葉よりも、作品全体に流れるゆるゆる感が大好き。何度も観たいゾンビ映画は余りないかも。
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