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ラスト・ドアのkuuのレビュー・感想・評価

ラスト・ドア(2018年製作の映画)
3.2
『ラスト・ドア』
原題Go Home - A casa loro.
製作年2018年。上映時間90分。

“アラブの春"のドタバタをきっかけに難民や不法移民が増え続けるイタリア。
移民問題はまさに最重要の社会問題を痛烈に風刺する、社会派としての側面も兼ね備えた作品に仕上がった激しい社会派マカロニホラー・スリラーゾンビ作品。

移民反対の抗議集会が活発化するローマ。
イタリア人の若者エンリコもまた、不法入国者を人間以下に見る差別主義者だった。
しかし、突如発生した暴動で街が混乱に陥る中、一度は死んだ者たちが次々とゾンビ化していく異様な光景を目の当たりにしたエンリコは、助けを求めて移民が住む収容所の閉ざされた扉を叩き続けた。
襲い掛かるゾンビの群れから間一髪のところを救い出されたエンリコは、残り少ない食料を分け与え寝る場を提供してくれる移民たちの優しさに触れ、差別の意識が薄れていくのを感じていた。
そんな矢先、遂にゾンビが屋内に侵入し最悪な事態に見舞われてしまう。。。


悪魔の墓場、サンゲリア、地獄の門、デッド・ウォーカー
エトセトラてなイタリアのゾンビ映画がある。
今作品もそのマカロニゾンビ。
80年代に流行った幻想的で陰惨なゾンビ作品のパクリではないけど、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』みたいな比較的無駄がない編集・キャラ主導の伝統を受け継いでいるかな。  監督はイタリア人女性としては珍しくホラーに取り組んだルナ・グァラーノ。(個人的には今まで聞いたことない方ですが)
ロメロ風のゾンビの伝染について観てる側が熟知していることを前提としてるけど、登場キャラはいつになったらゾンビを知るのか、そのルールを知らないという設定。 
一人だけドラマ『ウォーキングデッド』を観てるヤツがいて『あれはゾンビだ』と云ってたが、ウォーキングデッドでゾンビ知ったなら『ウォーカー』と云えよゾンビを。 
また、ジャンルの慣習に沿ったサバイバル戦術を知っている野郎が、たとえだ~らだら涎を垂らしたゾンビであっても、人の頭を壊すのは簡単ではないと認める。
多分、実際に刃物でも数体のゾンビの頭蓋をカチ割ったら刃先はボロボロになる。
ゾンビ包囲網の決まったパターンに対して、現実主義的で信頼できるアプローチを取るシーンがいくつかあったかな。
髭の生えた若いエンリコ(アントニオ・バンノ)は、ローマにあるアフリカ難民センターの前で抗議活動をしていた。   
偉そうなスポークスマン(ジュリアーノ・レオーネ)は、彼の反移民の主張にうなずいていたテレビのインタビュアーの女子に首を噛まれちまう。    狡猾で実用的な一面を見せるエンリコは、ファシストの記章を捨て、亡命者たちと一緒にセンターに避難。
彼らの中には、独自のサバイバル技術を持つ者もいる。   
エンリコが様々な人々と知り合っている間、グァリアーノはゾンビを過剰に攻撃することなく、比較的少数が外で活動している。
医学生とそのサッカー狂のガキ。
大きくて怖い自己主張の強いアフリカ人男性。
ビクしてゾンビ恐怖症のヤツなど。
見慣れた状況は幾つかあるけど、(傷ついた爺さんが自分の感染を他の人に隠している)巧妙に演じられてたかな。
ゾンビ作品アルアル衝撃的なラストを踏襲しながらも、新たな衝撃と驚きの展開やったし。
また、多少サスペンス・シーンもあるが、建物の中の退屈、混乱、気晴らしなどの描写に時間がかかり、肉食動物の無慈悲な威嚇を強調していない。  この人たちは、ゾンビに襲われなくても、十分に問題を抱えてるんやしゾンビまで問題増やさんでもエエのに。
個人的には可もなく不可もなく作品どした。
 
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