このレビューはネタバレを含みます
綺麗な映画。
印象的なトランポリン、男の涙、返事をしない母。
兄に暴力を振るわれ、父は家父長的な主人として尊大にふるまう。うわ最悪、、、と思った。
でも主人公の入院の時には本気で涙を流したりもする。家族の中の男二人が唐突に泣き出すシーンは印象的。
泣いた理由が明確に示されないから尚更に。
"家族愛"というモノが無いわけではない。
トランポリンで飛び跳ねてはしゃぐ主人公、そのトランポリンは誤って飛び出さないように囲われていて、めちゃくちゃ狭い。抑圧的な檻の中でしかはしゃぐことができない閉塞感と、それでも飛び跳ねたい躍動感が同時に表現されているように見えた。
この映画には、あえて答えが示されないシーンが多くて、主人公が外で母を見つけた時に声をかけるが、何度呼びかけても母は応答をしない。
簡単に言えばよくわからないこだらけ。
だけど不思議なくらい意味不明とは感じさせない。
それはきっと、彼女の鬱屈が私たちの鬱屈とリンクするからだと思う。
キム・ボラ監督のリアリズムはかなりの再現度だと思う。