いくつかの作品は観たし好きな作品もありながら、作品の背景や監督たちのことを詳しく知らず、自国でどんなことになっているかなんて全然知らなかったからすごく興味深かった。
ジャンルとして切り分けたりそこに優劣をつけてしまうというのはどこにでもあるにしてもそれがあまりに極端なのだろうか。アレクサンドル・アジャが監督志望の若者の質問に答えたことが印象的だった。ホラー映画を作る環境として絶望的であることを伝えながら、その奥にとても熱いメッセージを感じる。絶望的であると知ったうえで、それでも自分の好きなものや自分の作るものの価値を信じている。ムーブメントはすぐに終わった、ムーブメントは存在しない、といって冷静に分析しつつ、個々の動きが確実に土壌をつくり、次代に繋がっている。
話す姿から監督それぞれの個性が見えるのがめちゃくちゃ楽しかった。パスカル・ロジェの言葉がどれも魅力ありすぎて、字幕で流れていくスピードだと追いつけなくて何回も戻してしまった。原語は理解できなくても表現が素晴らしくて、とくにマーターズを観た人から貰った手紙の話が素敵すぎる。全ての言葉に彼の繊細さが宿って煌めいている。このドキュメンタリーでパスカル・ロジェが最初に言い放った強烈な表現と相まって、監督作品と違わぬ美しさを持つ人だな、と思ってゾッコンだった。
