本当に悪いのは誰？
表の事件としてWinny開発者の金子勇氏の裁判が映し出され、裏では警察の裏金問題が表出する。金子氏を逮捕する“正義の”警察官の正当性とはいかに。
そうして事の根本的発端が蔑ろにされる過程に憤りすら感じる。
東出昌大やはり凄い役者だ。
主演の東出昌大がさすがの好演で、終盤に映し出されるご本人とも瓜二つな挙動なんですけど、作品のキャラクターとしては吹越満の秋田弁護士が個人的MVP。
常に冷静沈着、だけど愛嬌があって腕は確か。淡々と語る口調とわかりやすい例え話、説得力のあるセリフの数々、カッコ良すぎました。
また、Winnyが流行った当時は中学〜大学生ぐらいだったと思いますが、その頃のイメージもあってか、あまり良い印象はなかったんですよね。
ただこの映画を観たらその認識が大きく覆されました。
何よりも腕のある技術者、科学者らの未来を守ることの大事さ。この件で金子氏が検挙されてしまったことで、開発に挑戦できなくなることが日本にとっては大きな損失なんですよね。
人間ドラマとしても上質でありながら、そのあたりのメッセージ性まで実に丁寧にわかりやすく描いているのが素晴らしかったです。
ナイフによる刺殺があったとして、それを作った人が罪を問われるか？という言葉がすごく印象深かったです。
2023年の年間ベストには絡ませたい作品ですね。
〈キャスト〉
金子勇(東出昌大)
壇俊光(三浦貴大)
桂充弘(皆川猿時)
浜崎太一(和田正人)
桜井恵子(木竜麻生)
林良太(池田大)
山本幸助(金子大地)
松山(阿部進之介)
伊坂誠司(渋川清彦)
比嘉誠(田村泰二郎)
北村文也(渡辺いっけい)
金子勇の姉(吉田羊)
秋田真志(吹越満)
仙波敏郎(吉岡秀隆)
※2023年新作映画40本目
