興味深かった。
作った人が悪い、という判断がもたらすものに抗う為の闘い。
何かを作る人たちが、これから自由に作ることができない状況になってしまうかもしれない。という立場の人と、作った人が悪い、ということにしたい立場の人。
本作は「作る人」への応援の色が強めなのかな。
新しい何かを、逮捕されるかもしれない、という恐怖を抱かずに作れる環境は大切。それは揺るがないと思う。
でもやっぱり、どうしても作ったものは、作者の手を離れて誰かに届くものだ。
困った使い方もちゃんと言及されていくけれど、役立った例をサイドストーリーのように並走させるので、悪い印象を拭い去りたい気持ちが強く感じられる。
なので、本作を見て、作るのは悪いことじゃない、という感想を持つに留まることもあるかもしれないと思ったりする。
ただ、考えたい人の妨げにもならない気もする。
こうしたら今抱える問題点を解消できそう、という案の発表や、それに対する反応を、どんな立場の人でも交換しやすい場があったらいいのかなあ、とか。
リベンジポルノで写真や動画をばら撒かれた被害者が泣き寝入りしなくて良い制度や、少なくとも寄り添う姿勢を示す必要性も無視したくないなあ、とか。
色んな人が色んな視点で考えて、今までの物は勿論、これから生まれる新しい何かが手元にきた日も、使い方や、制度や、考え方や、必要なことが少しずつ研磨されていく、その為の機会にすることも可能なのではないか。
何となく、この国で新しい何かを作る環境は、今かなり厳しそうだなあという印象もあったりする。作り手が云々以前に、たぶん、作ることに集中できない環境があるような、そういう。お金に余裕ない人も増えたわけで、貧乏暇なしという表現も脳裏にちらつくし。
新しい何かを作る為に開かれた道は、色々な困難に覆われているんだろう。
問題点や解決案の議論に関心を寄せるくらいのことは、実際にその道を進むことに比べれば、ずっと簡単かもしれない。
