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Suddenly in the Dark (英題)のhorahukiのレビュー・感想・評価

Suddenly in the Dark (英題)(1981年製作の映画)
3.9
抗う文化的アイデンティティ!

夫が連れてきた若いメイド。親を失い可哀想な境遇らしく形見の人形を肌身離さず持っている…。でもその瑞々しい裸体に危機感を覚えた奥様が「メイドは夫と不倫してる!アレは悪魔の人形に違いない!!」と勝手に妄執し始めどんどん勝手に狂っていく…韓国産サイコホラー&人形ホラー!

『下女』みたいな感じで家庭内に入ってきた「侵入者」が家族を崩壊させていく…というお話。あちらと違いメイドが特に何かをするわけではなく、単にアホで無知でおっちょこちょいなだけ…なのだけど、奥様がそれを自分に向けた敵意だと勝手に勘違いして頭がイカれていくといった感じ。

夫に相談しても「精神鑑定受けたら?」親友に相談しても「精神鑑定受けたら?」、更には「人を疑い始めたら全部そう見えちゃうし、自分が被害者だと勘違いしちゃうもんだよ」とド正論な火の玉ストレートかましてくれる親友さん冷静過ぎてサイコー!😂

『下女』では西洋化が進む韓国の実情を反映して下女に異文化侵略を象徴させていたけれど、本作では20年が経ちその西洋化が進んだ結果故なのか、屋内のインテリア等々が西洋的なデザインで徹底されているのがわかる。シャーマンについては50年代頃には迷信としてのみ語られたのに対し、60年代以降は韓国文化の源泉としての価値が肯定され出したらしくて、そのシャーマンの末裔が西洋化した「韓国」へと投下される本作の根底には、キムギヨンと同様な他文化により侵略された自国のアイデンティティ喪失を憂うような意図があったのかな〜とか思った。

万華鏡のような混濁した実像を主観映像として多用し過ぎているのは少し鬱陶しいけれど、三者間の関係性を映し出すハート型に象られたハブとマングース越しの人物像(これも多用し過ぎだけど…🤣)の象徴性、奥様の動作を天井から見下ろすカメラ(これも多用…笑)による矮小化、屋内の1階2階の関係性と屋外での逆転して反復等々面白い演出も多く、『シャイニング』(製作年的に本作製作段階で見られる環境だったのかは不明なので『霊魂の不滅』かも?)オマージュだったり、強迫観念的に侵された先に待つゴリゴリな人形ホラー展開も好きだった👍
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