おしえて！ドクター・ルースの千月のネタバレレビュー・内容・結末

90歳のセックスセラピスト。チャーミングでバイタリティに溢れる人柄に惹き込まれた。
人々からの赤裸々な質問には、ここまでテレビやラジオで聞いてしまうの？と思いつつも、専門家として真摯に、時にユーモアを交えて（ちゃかすのではなく）回答し、差別的な質問には毅然と対応する彼女の姿に、多くの人が救われ、勇気づけられたことは、とても良く伝わってきた。
LGBTQやエイズへの偏見を是正し、中絶の権利を守りながらも、政治的なものから距離を置き、フェミニストではないと話す立ち位置も興味深い。ノーマルという言葉を嫌い、誰にでもフラットにアドバイスする、ぶれない芯を感じた。
彼女の生い立ちは、激動や過酷という言葉では表せないもの。仕事に邁進しているのは、深い悲しみから自身を守るためではないか、という娘さんの言葉が印象的。
知識は誰にも奪えない、という父親の言葉は、それが生まれた背景を考えると重い。その言葉を人生の指針とし、体現するように生きている彼女の人生は、同じように重く、けれど軽やかだった。凹むことがあったら、彼女の姿を思い出そう。