共産時代の暗鬱な影を払拭しようとする意志
が映像とストーリーから明確に感じ取れた気がする。
第二次大戦終了間際から始まったポーランド共産化。それを良しとしない兵士たちの反乱と、それら反乱兵たちの掃討を企む共産党政府公安と軍部を描いたこの映画は地味で荒涼、派手さのない砂を噛むような展開ながら個人的には予想外の充実感を得ることができた。
時系列的に若干あやふやになるような場面がないわけではなかったが、全体把握の観点からはさほどネガ要因にはなっていない。
全てにおいて製作側の手抜きのない気配りが感じられ、黒パンの様な重く密な味わいを醸していたように思われる。
数十年の長き時を経てソ連共産圏崩壊後にようやく取り戻されたポーランドの自由。
その現代ポーランドにおける〝戦犯裁判”にて上の反乱兵たちに対する旧共産政府の暴虐が裁かれ、殺害された反乱兵たちの名誉を称えるという場面で映画は終わる。
1.3倍速視聴しながら1時間50分がまるで2時間半くらいに感じられたが、それがいささかも苦にならない高レベルの吸引力を本作は持っていたと言える。あくまで個人的にはだが。
しかし、本作のテーマに興味を持てなければこれ程退屈なものもないかもしれないけれど。苦笑
022108