この世界に生まれ落ちて、なにものでもなかった自分が、ようやくそれを見つけたことによってなんのためにこの世界で生きていくのかを知る。
青い鳥。
だからこそ、それが見つからないひとは世界から乖離されたような分離不安に襲われるし、ようやくそれを手に入れたのに、失ってしまったひとにとってはそれはまさに世界の終わり以外のなにものでもないのですな。
硝子の青い鳥を後生大事に抱えてミチルを追いかけるテツオがせつない。
偽物の鳥を追いかけたってどうしたって満たされるわけがない。そんなことしてる間にどんどん本当の青い鳥は手の届かないところへいってしまうのに。
もうあのときの青い鳥はいないのだと受け入れることができたのは、シチカを筆頭にたくさんの愛がそばにあったからであり、そしてそれは言うまでもなく、たくさんのひとたちがテツオに青い鳥をもらったからにほかならないのですな。
ただのメサイア・コンプレックスになるのでしょうか。いや、もう二度と大切なひとを失いたくないという感情は至極健全な精神活動からくるもので、劣等感ではないような気がする。
自分に関係のないものなんてない。
ステキな永久機関がそこにはあったように思うのです。
砕けた硝子の青い鳥が、これからのふたりの(世界との)つながりに生まれ変わるところも、過去も現在もひっくるめて自分だという主張を体現しているような感じがしてよい展開でした。好き。
去年までは男の子だった子が、一年経ったら超絶かわいい女の子になってましたパターンはなんでこんなにも琴線に触れるのか。(性転換とかじゃないです)
もちろん男の子が超絶朴念仁なところも含めてセットです。大事なところなのでメモしておくように。テストに出ます。