YUI

生きるのYUIのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
3.8

3月末に『生きる LIVING』が上映されるので、鑑賞。

市役所で働く主人公。胃がんを宣告され、自身の生活を見つめ直し生きるとは何か考え公園開発に立ち向かう。

面白いのは、主人公の心情が変わった場面からすぐに葬式のシーンに変わる点。あえて公園開発に向けた主人公の取り組みを繋げるのではなく、同業者の回想という形で生前の主人公をうつすところが印象的だった。この流れはそうそう思いつかないな、、と。

現代の映画であればカットされてしまうようなシーンやショットが多く、それをあえて写すことで鑑賞者に生きる意味を問いただすようである。主人公の表情変化がなんとも哀しい。


結局人間は、死をもって生きる意味を知る。これが真理なのかしら。命は儚い、そう思っていても毎日全力で生きる人間などいないのである。余命宣告をされ始めて生きる意味を見出す主人公は決して尊い存在ではなく、悲惨な印象すらもつ。何十年生きた中の1年も満たない時間で人間として生きる活力が出るなんて、人間の生きる意味がますますわからなくなってしまう。
YUI

YUI