はる

生きるのはるのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.8
役所に勤める主人公、渡辺勘治は30年間無欠勤のまじめな男。市民課長の椅子を守るためには何もしないことが一番。
そんな主人公が余命いくばくもないことを悟り、誰も手を付けなかった公園建設に情熱を注ぐというストーリー

このあらすじだけでおおよその展開は予測出来たんです。主人公が亡くなって感動のフィナーレかと思いきや、その後が本編でした。
お役所仕事への痛烈な批判と、「生きる」事の意味について、主人公の死後に、段階的に見せつける構成がすごく面白かった。
不幸には立派な一面があり、人間に真理を教える、って所に強い共感を覚えました。


※この主人公、実は胃がんの告知は受けていないんです。だから「もしかして死なないのでは?」という期待を持ってしまいました。
当時がんは不治の病だったので、患者の精神的ショックに配慮して「胃潰瘍」などと別の病名を伝えることが一般的だったみたいです。
勤め先の役所の書類の山もすごくて、当時の常識も知ることが出来ました。
聞き慣れない言葉もあるので字幕付きでの鑑賞がおすすめです😉
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