ひろゆき

ソウルフル・ワールドのひろゆきのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
3.8
銀幕短評(#462)

「ソウル」(原題)
2020年、アメリカ。1時間41分。

総合評価 75点。

クチすっぱくいうように わたしは神はいないと信じますが、そのほかの超自然の存在については、おおむね寛容です。しかし、死後の世界はあるかもしれない。ひょっとすると天国と地獄とに分かれているかもしれない。このあたりで もし万がいち 神が介在してくると、わたしの確信がひっくり返ってしまうのですが。まあ、だれも死んで生き返ったひとがいないのだから(たぶん)、そのあたりは うやむやですね。

もし死後の世界があるとすれば、輪廻転生(生まれ変わり)もあるかもしれない。たましいのリサイクルですね、経済的だ。日本の「TOO YOUNG TO DIE ! 若くして死ぬ」(#38、92点)は、このあたりを面白おかしく描いていましたね。輪廻、まではないとしても、死後の世界があるとすれば 生前の世界、といういいかたはややこしいのですが、この世に生まれる前の世界があってもおかしくない。その発想で、このディズニー/ピクサーのすてきなアニメ映画は、ものがたりを語ります。

映画は残念ながらすこし説教臭い畳みかけで最後を締めくくるのですが、全体として非常にレベルのたかい作りに仕上がっています。すぐれた脚本、人物や性格の造形、作画、動画、音楽、カメラの動き。それらは互いに呼応してすばらしいハーモニーを奏でます。胸のすくギャグのセンスもよく、5分に一度は吹き出します。おなじくディズニー映画で最近に観た「インサイド・ヘッド」(番外、65点)などは 赤ちゃん向けアニメのように思えます。

ひとは生まれて死ぬまで、なにを目的にして何を目標にして 日々、月々、年々を起居するのでしょうか。だれに会い、なにをするのか。そもそもはたして、人生に意味や理由が必要なのでしょうか? 日本の「37セカンズ」(#393、83点)の主人公のおんなの子は、こういいました。(長いと思える)わたしの人生なんて宇宙人からすれば、夏休みの宿題のようなものかもしれない、と。

神がいないのと同様に、死後の世界も生まれる前の世界も存在しないと わたしはやはり信じます。今生(こんじょう)を生ききることしかできないし、生ききる自由をもっている。いまできることを いまやるしかない。やりたいことを優先してやる。やりたくないことは できるだけ遠ざける。死にぎわになって、あああれをやり残した、あのひとに会って こういうべきだった、などと悔いることはご免です。そんなことをいうくらいなら、さっさとやりたいことをやれよ、と自分で自分をしかる毎日です。


(ていねいなコメントを たくさんいただきました。)
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