一人旅

レディ・マエストロの一人旅のレビュー・感想・評価

レディ・マエストロ(2018年製作の映画)
5.0
マリア・ペーテルス監督作。

オランダ出身の実在の女性指揮者の波乱の半生を描いた伝記ドラマ。

オランダの女性監督:マリア・ペーテルスが、オランダ出身の女性指揮者:アントニア・ブリコ(1902-1989)の半生を映画化した実話ベースの伝記ドラマの力作で、オランダ人女優:クリスタン・デ・ブラーンが不屈のヒロインを熱演しています。

2歳の時にシングルマザーの母親に養子に出され、貧しい養父母のもとニューヨークで育ったヒロインが、指揮者になるという子供の頃からの夢を叶えるべく、ベルリンの音楽学校に入学し指揮者としての腕を磨いていく様子を、有名指揮者の息子である恋人との関係性の変容や、ヒロインの無二の理解者となるナイトクラブオーナーとの間で育む絆と友情、ヒロイン自身の出自を巡る苦悩と理解を織り交ぜ描いた“音楽+伝記ドラマ”となっています。

女性が指揮者になることが許されなかった時代において、音楽への飽くなき情熱と弛まぬ努力を武器に世間の常識に挑んでいった女性指揮者の先駆者:アントニア・ブリコの波乱の半生がドラマチックに浮かび上がっていきますし、劇中オーケストラが演奏するクラシック曲の数々が物語を華やかに彩っています。

“女性であること”を理由に不当な扱いを受けてきたヒロインの苦悩と不屈の魂を活写した女性映画で、エンディングのメッセージが現在まで根深く残る音楽界の男女差を問題提起しています。
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