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ベル・エポックでもう一度のryodanのネタバレレビュー・内容・結末

ベル・エポックでもう一度(2019年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

あの頃が良かったなんて一度も思ったことはない。この作品は過去に戻って何かする作品では全くなく、実は常に現在進行形で時間は流れている。ありがちな過去の事件を食い止めるべく、過去に戻って奮闘する系の作品とは完全に違っている。見ている側もそっち系と混同してしまう時があるけれども。過去に戻って何かを克服するとか、その頃の記憶にすがってノスタルジーに浸り続けるのでもなく、行き着く先は「今」をどう生きるか。それが終盤になって胸に迫る。旺盛な創作意欲と情熱的な恋に熱狂していた主人公の素敵な時代は、恋人とっては、レイプが多くてタバコ臭くて大っ嫌い、というのもなんだか嬉しい。それだけ認識が違う赤の他人が50年も60年も共に生きていくのは簡単じゃない。昔の方が幸せだったと言ったところで、現在が変わる訳でもない。変えられるのは「今」だけなんだから。老境に差し掛かっても変えられない理由はない。そんなメッセージが胸アツでしたね。
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