なな

劇場のななのネタバレレビュー・内容・結末

劇場(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

いつまでもつだろうか。

(同じ絵を見てた。
急に知らない、ちょっと小汚い男の人が
明日、遊びませんか。なんて
声かけてきたらこわいよね。


青森出身でサキという名前だと言った。
中学生の頃から演劇部に所属していて、
知り合いに勧められたこともあり
高校卒業してすぐに女優を目指して上京。


アイスコーヒー2つ。

勝手に決めちゃった。あはは。
アイスティーとアイスコーヒーで。


ながたさん。
芝居の本とか書いてます。
無名の劇団なんですけど。


僕の憂鬱な根元は全て演劇にある。

高校入学式の数日後に開かれたオリエンテーションはやるのも見るのも苦痛なものばかりだった。


野原。彼は音楽や映画、そして文学や格闘技にも詳しかった。

僕の小さな創作意欲が一気に弾けた。


劇場「おろか」酷評。

一般論なんか知らないよ。

(僕があげた自転車にのり、一緒に劇団をやっていた彼は傘でぶったたいて逃げてった。

自分の演劇を作りたいという欲求は
趣味という言葉で片付けてしまってもいいのかもしれない。


さきちゃんはばかなの?

ばかじゃないよ。賢いよ。


さきは理想的な速度で歩いてくれた。
僕は自分より早く歩く人が嫌いだし、
自分より遅い人はもっと嫌いだった。
同じ速度で歩いてくれる人だけが好きだった。


なんかクレープの中に硬いフルーツ入ってると思ったらしいんだけど、それ、
俺の差し歯だったのよ。

うわっきったな。

そう、普通そうなるだろ?
でもすっごい笑ってるわけ。
でもよくよく聞いたら怒ってんだよ。

もう、このクレープ美味しいのに!

変わってんなぁ。


客席に沙希ちゃんのことを嫌いな人間が一人いると思ってやってみて。


劇団おろか「その日」大成功!


(注目度がわずかばかりあがり、定期的に公演を開催できるようになり、稽古続きで貧乏になり、沙希の下北沢の家に転がり込んだ。


沙希は僕がブロックを持ち帰るたびに
大笑いした。

僕はなにかやましいことがあるとブロックを持ち帰るようになった。


感情に従順である人間を僕は恐怖の対象
として見ていたが、そういう人間こそ
尊いと思うようになった。


ザ・ディランII(セカンド)


俺、沙希ちゃんのオカン嫌いだわ。
わざわざそんな嫌味言わなくても良くない?

そんなこと言わないで…。


人の親から送られたものを食べる
情けない生き物。
恥を撒き散らして生きているのだから。
みじめでいいのだ。
みじめを標準として笑って謝るべきだった。
理屈ではわかっているけれど、僕にとって
それは簡単なことではなかった。


比べたら笑われるんだろうけど
俺は自分で創作する人間だから
ディズニーランドで好きな人が
楽しんでんの見るの耐えらんない。


沙希は徹底して僕に甘かった。


(家)
ここが一番安全なとこだよ〜

うん。
(その言葉はいつまでも僕の耳に残った


沙希が笑う顔を見るとみすぼらしい
手製の物体が上等な作品であるかのような
錯覚におちいるから不思議だった。


家賃も支払わず自分の好きなものばかり買っていることを後ろめたく思う気持ちはあったが、我慢しようとは思えなかった。


(自分が好きな小説を彼女が自分のために
こっそり買ったらしくにこにこ差し出した。
何故か無性に腹が立った。

(学校の男子にバイクをもらったらしい。
今僕に教えてるように教えてもらったのだろうか。
自分がなにに腹を立てているのか分からなくなった。

彼女の純粋で無垢な性格が憎かったのかも
かもしれなかった。
その優しさに触れると自分の醜さが強調されいつも以上に劣等感が刺激され苦しみが増すことがあった。


たまになに考えてんのか分からない時があるよ。

いつもじゃないの?

いつもはまだ理解できるよ。でも…たまにどう接していいか分からないことがある。

(バイクを壊した。
事故で壊れたと言った。
くれた男子に壊れちゃったって言ったら
落ち込んでたと言われた。

(沙希は学校をサボるようになった。
学校行ったら?

永くんにそんなこと言われると思わなかったな、ひげぼうぼうだよ。

沙希が朝から働くようになっても僕の生活は変わらない。

夕方頃に起きて、言い訳のように散歩して
演劇のことだけをひたすら考えて…ほとんどなにも思いつかないまま部屋に戻る


少しでも油断すると
生活やお金の話になるような気がして
それを避けるためにずっと僕は物憂げな
表情を作っていた。


演劇「まだ死んでないよ」

僕は演劇を観て生まれて初めて泣いた。

作・演出 小峰

同じ歳齢だと知り
純粋な嫉妬というものを感じた。

彼を認めるということは
彼を賞賛する誰かを認めることでもあって
その誰かとは
僕が必死でその存在を否定してきた連中でもあった。


でも僕は沙希が笑っているこの時間が
永遠に続いて欲しいと願った。
沙希が笑っている時間だけが永遠に
繰り返されればいいと思った。


(借金して一人暮らしを決意

創作に向き合うときに
沙希の存在をうとましく感じてしまう
ようになった。

沙希が僕を気遣って話すのをやめたとき
その静けさはとても大きな音として
僕の神経を逆なでするようになった。


僕はなぜか健やかさを感じていた。
もう一つの居場所ができたことによって
感じる安堵のようなものだった。
自分はなんと身勝手な生き物なのだろう。
沙希が不憫に思えた。


沙希に会いたい。

沙希が笑ってると安心する。
笑っていないと怒られているような気さえする。

何かから沙希を守ってやれないことを
怯えていると思っていたけど
守られていたのは僕の方だった。


(沙希は彼氏がいるからと
まだ死んでないよの劇団員を即振ったらしい。彼氏の自慢ばかりするのだけれど
話を聞いていくうちに彼氏最低だねって
みんなで話してて、そういえば、なんで
彼氏が劇団やってること言わなかったんだろう?

高円寺のアパートに一人こもった。

自分に与えられた権利は
自ら行動できるという一点のみだ。


それでも酒を飲んで気が大きくなった時
だけ無性に会いたくなった。

朝方になると酔いがさめて
恐ろしくなり1人で後悔して
眠ったフリをしてしまう自分が
情けなかった。


私、人形じゃないよ。


少しだけ春っぽい匂いがして
吐きそうになった


沙希ちゃんなら店長と帰ったけど。

帰ろう。ほら、乗って。
桜見に行こう。
(一言も話さない彼女を乗せて、
想いを語って、自転車、2人乗り。

梅雨に入った頃から沙希は
夜に眠れなくなったようだった。

それによって酒の量が増して
泥酔していることが多くなった。


わるい。
俺は人の意見を聞きたくなさすぎ病なんだと思う。

何でもかんでも笑い飛ばす必要なんてない
って思ってる。でも、最後に笑えたらいいって思ってる。


私、もう東京駄目かもしれない。

1人で大丈夫?

俺は大丈夫だ。

沙希にとって東京の大部分を占めていた僕から逃れたかったのだと思う。


いつまでもつだろうか。
次に不安が押し寄せてくるのはいつだろうか。


(実家に帰った彼女が荷物をまとめにきた。
"
迷惑かけた。
たくさん迷惑かけた。

そんなのセリフにないよ?

永くん、何にも変わってないもん。
勝手に歳をとって焦って変わったのは私の方だから。
駄目だよね。

永くんと会えて本当に嬉しかった。

記憶おかしくなった?
それ俺の方だよ。

違うよ。
私はずっと諦めるきっかけを探してたんだよ。
永くんに会えてなかったら、
もっと早く帰ってた。
永くんのおかげでみじめな気持ちじゃなくて東京を楽しい気持ちで歩けたんだよ。
永くんがいなかったら
もっと早く帰ってた。絶対。

演劇ができることってなんだろうって
最近ずっと考えてた。
そしたらさ、全部だったよ。
演劇でできることは現実でもできる。
だから演劇がある限り
絶望することはないんだって。


(目をキラキラ→うるませて
夢を語る今が一番生き生きとしているように見えた。

朝食はしっかり食べよう。
白飯と味噌汁と焼き魚と納豆。

一番会いたい人に会いにいく。
こんな当たり前のことが、なんでできなかったんだろうね。

(帰ってきたとこから、舞台だったのかな。
最後、ちゃんと2人で話せたのかな。
ちゃんと伝わったよね。
すきだなぁ。
なな

なな