FUNAN フナンのmasayaのレビュー・感想・評価

　1975年カンボジア。クメール・ルージュの支配が始まり、都市住民は強制的に農村に追われる。そんな最中子供と離ればなれになった夫婦の物語。ただ息子と再会する為に、そして生きる為に耐えるしかない日々を描く。今語らなければ風化してしまう、罪なき市民の苦しみの現代史。
　自由も尊厳も奪われて食事すらままならない日々を強いられる一般庶民にとって、革命の大義も民族の誇りもなんと虚しく聞こえることか。常に翻弄される個人を描くことは歴史教科書だけでは足らない。この映画の果たす役割は大きい。

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