たく

これは君の闘争だのたくのレビュー・感想・評価

これは君の闘争だ(2019年製作の映画)
3.7
ブラジルを舞台に、2013年の公共交通機関の運賃値下げデモを発端として国内に反政府運動の気運が高まって行く様子を描いたドキュメンタリー。2015年に高校生が起こした反学校再編法案の大規模な学校占拠がブラジルの若者達のパワーの凄まじさを感じさせ、これは今の日本じゃ絶対に起こり得ない光景だと思った。

運動に参加した学生自身が早口のナレーションで交代しながら語って行く構成がちょっと取っ付きにくかったね。
運動は貧困問題、黒人差別、LGBT問題など様々な問題提起に拡がり、一定の成果をあげる一方で、公権力が社会運動を暴力で抑え込んでいく様子を克明に見せて行く後半がゾッとした。この警察官の横暴は近年のアメリカのBLMを思わせる。
その一発が学校給食500食分の値段に等しいという催涙弾の爆音が繰り返し響くのが虚しかった。

学校占拠デモが成功したかと思いきや、ブラジル初の極右の大統領が生まれてしまうのが何とも皮肉で、大統領自身が社会運動撲滅を公言するという信じがたい事態に唖然とした。ラストのたたみかけるラップには思わず飲まれて、「ブラインドスポッティング」を思い出した。
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