Jonayama

ザ・ハントのJonayamaのレビュー・感想・評価

ザ・ハント(2020年製作の映画)
4.1
個性的な低予算ホラーを次々世に送り出しているブラムハウスが贈るバイオレンスなホラー/スリラー映画。

訳もわからず拉致され森の中で目を覚ました12人の男女。
状況が飲み込めず混乱する中突如銃声が鳴り響く。恐ろしい人間狩りゲーム"マナー・ゲート"が始まったのだ。




リベラルを気取った富裕層が低所得者の白人たち(差別的だといけないから1人黒人も混ぜたらしい)を娯楽目的で殺害するというかなり危険な設定の映画でグロありのバイオレンスアクションと悪趣味なブラックコメディが融合したなかなか捻くれたクセのある作風が印象的。

また大きな見どころであるベティ・ギルピン演じる主人公格のクリスタルが従軍経験を活かして冷徹に時におちゃらけて応戦する様は痛快!
『僕のワンダフルジャーニー』や『ザ・グラッジ』で観た時と全く違う役どころを演じていて驚いた。個人的にとても気に入ったキャラクターだ。

偽装された町で一般市民かと思った相手が殺す側で銃を向けてきたり追われる側かと思った人物が実は敵だったり(これはやや曖昧にしていて後味悪いのだが)と一寸たりとも気の抜けない張り詰めた緊張感ある空気と反比例するようなどこか間の抜けたリアクションが同居した不思議な作風で残酷なシーンがあるのも相まってやや人を選ぶ作品かもしれないが個人的にはとても気に入った。
王道を適度に外した捻くれ具合のある作品は好きだ。
各人の掘り下げがあまりないためバッググラウンドの曖昧さがやや不気味なキャラクターが何人かいるがこれはこれでいいのかもしれないな。


ヒロインかと思った人気女優エマ・ロバーツはちゃんとした名前のない"ヨガパンツ"なんてクレジット表記で瞬殺されるし冒頭主人公らしきグループ(コメディ系で見かけるアイク・バリンホルツもいる)が20分ほど粘った後に全員殺されてその後主人公クリスタルが活躍するという前半の意表を突くような展開はマジでビックリした!
ゲームの首謀者役がヒラリー・スワンクなのもちょっとビックリ。


当時、銃乱射事件やコロナ禍による公開延期。そして保守派に「リベラルがトランプ支持者を虐殺するものだ」などと批判されるなどなかなか苦難の多い道を通ってきたらしいがいざ観てみればどギツいが捻くれたユーモアのあるホラーの良作だと感じた。


個人的に、狩る側のリベラル気取りの富裕層も偽善的で傲慢な全く好感の持てないクソ野郎(言葉が悪くてスミマセン)として描かれるしややネタバレだが最後は皆殺しにされるので保守派の人が怒るようなものでもないような気がするのだが…あらすじか導入部分だけ観たのかな?
富裕層と低所得者の深い溝を描いたという製作者側の言い分の通りなのではないだろうか。
Jonayama

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