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ハスラーズのkuuのレビュー・感想・評価

ハスラーズ(2019年製作の映画)
3.6
『ハスラーズ』
原題Hustlers.
映倫区分PG12.
製作年2019年。上映時間110分。

リーマンショック後のニューヨークを舞台に、ストリップクラブで働く女性たちがウォール街の裕福なサラリーマンたちから大金を奪う計画を立てたという実話を、ジェニファー・ロペス(J-Lo)とコンスタンス・ウーのダブル主演で映画化。
ロペスはベテランのストリッパーを演じるに当たって、主要撮影の2~3ヶ月前からポールダンスの練習を始めたそうな。
また、コンスタンス・ウーは、映画の準備に、ストリッパーとして覆面潜入したそうで、最初の夜にラップダンスとストリップをして600ドルを稼いだんやそうです。

年老いたばあちゃんを養うためストリップクラブで働き始めたデスティニーは、そこでひときわ輝くストリッパーのラモーナと出会う。
ストリッパーとしての稼ぎ方を学び、ようやく安定した生活が送れるようになってきたデスティニーだったが、2008年に起こったリーマンショックによって経済は冷え込み、不況の波はストリップクラブで働く彼女たちにも押し寄せる。
いくら働いても自分たちの生活は向上しない一方、経済危機を起こした張本人であるウォール街のエリートたちの裕福な暮らしは変わらず、その現実に不満を募らせたラモーナが、デスティニーやクラブの仲間を誘い、ウォール街の裕福なクライアントから大金をだましとる計画を企てる。。。

『ハスラーズ』激写ストリッパー役の出演者が役になりきった姿が悩殺レベル🐣🐥🐤!!!
(男性週刊誌袋とじヘッドラインのアルアル文句風)

実際今作品は、ジェニファー・ロペスを筆頭に、主要ダンサーがオールアジア系キャストの異色ともいえるかな。コンスタンス・ウーも凸凹さで悪くはなかった(好感は持てなかったが)。
加えて共演者に青春ミステリードラマ『リバーデイル』のベティ役のリリ・ラインハートや、シンガー兼俳優のキキ・パーマー、
さらに本作が映画デビューとなったラッパーのカーディ・Bや、グラミー賞受賞アーティストのリゾら豪華キャストが名を連ねてた。
皆、エロいけどクールでスタイリッシュやった。
アッシャー、リッツォのカメオも見逃せんかな。
作中、ジャネット・ジャクソンの曲が全体で使用されてた(『コントロール』と『ミスユーマッチ』)。
よう考えたらジェニファーロペスは、90年代にジャネットのアルバム収録曲の『That's The Way Love Goes』のバックアップダンサーしてたんやったし、中々ニクい演出で、挿入曲もかなり良かった。

扨、今作品は、まともな生活(時にはまとも以上の生活)をするために女子が追い込まれるいくつかの点について描いてる。
しかし、それって
女性VS男性
ちゅうことじゃなく、誰もが自分の得意なことで勝負する汚いゲームなんかな。
ある者は万年筆と契約書。
ある者はタイトスカートとハイヒール。
そして多幸感と失神を誘発する薬物を混ぜ合わせたもの。
ボンクラをターゲットにして、友達を連れてきて、特別なカクテルを飲ませ、自分も飲むふりをして、彼がくれるどんな薬でも受け取り、ストリップクラブに連れて行ってクレジットカードを使い切らせる。
これは~まるでぇ魚と餌のプロセスやなあ~竜宮城の宝石箱や(彦摩呂風)。
誘惑し、薬を飲ませて、ゼニを奪うちゅう芸術が、手数料やクラブの成果に対するパーセンテージ、さらには外注を含む実際のビジネスに変わるまで、専門知識が身につくまで、詐欺をを百回繰り返すようなモン。
そして、女性が服を脱いで自分の体を見せるように云われるゲーム(プレイ)じゃ、野郎が私腹を肥やすのは当然で、そこにはある種の内なるポエムがあるわぁ(美輪明宏風に)。
こないなストリップクラブにアクセスできる野郎は、詐欺を乗り越えられるほど特権的で、どうせ自業自得なのだからと腐心しているということなんかもしれへん。
それに同意せざるを得ないわけではないが、その理由を完全に否定することもできない。
この陰謀は、デスティニー(コンスタンス・ウー)と真の首謀者であるロザーナ(J-Lo)が仕組んだものやけど、ある意味ラモーナのキャリアはビジネススクールの理想のケーススタディになるんちゃうかな。
又、別の人生じゃ、彼女は良いほうに留まることで、もっと先に進むことができたはず。
姉御肌やし。
ラモーナについては、彼女がこの映画の柱であり、やってることは糞でも好感が持てた。
彼女は、演技が他のすべてのものを消し去るほど自然に見えるような生のエネルギーを提供してるかなぁと。
たぶん彼女は、コンスタンス・ウーがほとんど薄れてしまうほど優れていたんかな。
コンスタンス・ウーのファンのかた🙇‍♂️。
正直、ウーが苦手か、役柄が腰が入ってない(胆が据わってない)からかデスティニーには好感が最後まで持てなかった。
ウーが新しい友人に畏怖の念を抱く不安定な女子を演じたのは理解できますが、彼女の演技を本当に評価するには今作品だけでは難しいかな。
監督のロリーン・スカファリアは、泣いたり壊れたりするシーンでウーの役を埋める必要があったようやけど、
J-Loは、その必要がなく、ショーを支配することができたそうな。
彼女が文字通り札束のプールで泳ぐインパクトのある登場シーンは、最近の最もセクシーなシーンのひとつやったし、
若かりし日の彼女のライブコンサートや『Jenny from the Block』のPVで魅せたJ-Loの10代の内面を呼び覚ますものやとさえ感じたかな。
今作品にはセクシーなシーンが沢山あったけど(クールでもあった)ラモーナが、か弱いデスティニーを自分の毛皮のコートの下に誘い仕事のコツを教えるという優しい方法を含めれば、これ以上のキャラ確立の瞬間はないんちゃうかな。
この2人の相性は抜群で、素晴らしい友情物語でもあると思う。
また、スローモーション場面を多用してる感はあるが、プロットはスムーズに流れ、ちょっとしたトリックから小さなゲーム、大きなゲームへと進み、ウォール街の連中を釣って破滅させるという大きな計画へとたどり着いてた。
実話に関する記事を読んで、今作品は不幸な女子たちが不幸な野郎たちをたぶらかし、最後にはゼニ(お金)を手に入れるが、そのゼニを表面的なもののためにとにかく賭ける、というものだとわかる。
被害者が一人多いと終わる運命のスパイラル。
今作品は、お決まりの裏切りや転落というスコセッシ流のシナリオに沿っているけど、スカファリア監督がそれをスタイルの練習として意図したとは思えないかな。
編集は理にかなっているし、ジュリア・スタイルズ演じるジャーナリストのインタビューの目的を理解するのに苦労したが、驚くほど感動的にプロットを結びつけている。
今作品は完璧じゃないけど、特殊な世界を映画の中心に据えるのはそう簡単ではないことを、今まで沢山描かれてきた映画で証明しているし、ストリッパーは、貧しい犠牲者や苦労する母ちゃんが、貶められることがあまりにも多く(全てじゃないけど)、その型を完全に覆す、自信とガッツと野心を持った賢い女子を演じるラモーナに圧倒され、だからこそジェニファー・ロペスはもっと賞賛されていいんちゃうかなと再び思った次第っすわ。
そして、この映画も彼女たちを聖人君子にせず、彼女たちでさえ臆病になったり裏切ることがあることを示したことに👏拍手を送りたいかな。
野郎でも楽しめる女子中心の作品に仕上げた監督にも脱帽かな。
正直、ジェニファー・ロペスの登場シーンに興奮した。
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