椎名一霤

シン・ウルトラマンの椎名一霤のネタバレレビュー・内容・結末

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

他人の人生を勝手に凝縮したような映画だった。怪獣、ウルトラマン、ゾフィー、それらを全く興味のない、知らない状態で鑑賞した人物がどのような感想を抱くのか想像がつかない。「禍威獣」たちの造形美や、ウルトラマンが飛ぶ際姿勢が変わらないこと(原本が作ったフィギュアを使って撮影していたことからくるものであろうと推測される)などなど、制作側のウルトラマンへの愛が強く感じられた。ストーリーはいい意味で幼稚な勧善懲悪で、故に美術に目が行く面もあり本当にウルトラマンとして見ることができた。メフィラス星人・ザラブ星人のような擬態する外星人たち、それらの原本へのリスペクトを含めた新規のデザイン、高次元な存在を含めもともとの最後の敵であるゼットンを余剰次元と絡ませ、あまつさえ超球の3次元への投影を感じさせる多次元宇宙を感じさせ、そこに伴うブラックホールも外観を現代に合わせてある。そうしたより高次な存在へのアプローチをこのストーリーでやるということも素晴らしい。スタンディングオベーションを自粛したことを褒めて欲しいくらいである。懐古的に収まらない本当に素晴らしい作品だった。