Same

シン・ウルトラマンのSameのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.0
庵野秀明によるウルトラマンのリブート作品。監督は樋口真嗣。
何でもかんでも特撮となりゃ樋口監督に任せなきゃいけないってのも日本の映像業界で新たな才能が育ってない事を感じさせますね。
樋口監督が撮るということは、ある程度の特撮クオリティは担保されるものの、それ以上は望めないって事ですから。案の定驚くべきものは一切無かったです。

この作品はオリジナルウルトラマンを知っていてそのノスタルジーに浸っている世代に向けてのPVかなあ。
一つの映画と呼ぶにはあまりに淡々と、かつ足早にストーリーが展開しますね。
初めてウルトラマンに触れる人はなんなんこれ?ってなるんじゃなかろうか笑

長澤まさみがあそこまで神永に入れ込んで感情移入するほどの関係性は描けてなかったし、妙に淡々とした西島さんはキャラのせいか演技がド下手に見えました笑
というか感情を込めた演技をできている人がいなかったな。なんか他人事っぽいというか軽いというか。これもそういう感情を引き出せない樋口監督と庵野秀明の力量の限界というところかなあ。

ウルトラマンの飛んでる飛行姿勢がオリジナルの人形を使った撮影が故のカッチカチの形をそういう飛行の仕方なのだ、と捉えてそのまま描いたあたりはノスタルジーと発想の転換の両方を感じさせて好きでしたよ。
誰かや何か越しの凝ったアングルの構図が多くて、うざったい感じでしたね。
あんまり効果的じゃ無かったかな。

また1番個人的にリブートするならどうなるか気になっていた、ウルトラマンや怪獣のデザインなんですけど、全くダメでしたね。
そもそもオリジナルのデザイナーである彫刻家の成田亨のデザインが独創的で完成されていて、いじる必要なんか無いんですよね。
今見ても初代とウルトラセブンの怪獣、宇宙人はデザイン的にも色褪せていない。
それを山下いくとや竹谷隆之が今っぽくそれっぽく弄っても、改悪にしかならなかったですね。ちゃんと造形理念を持った彫刻家やデザイナーに新たにデザインさせるべきだった。
個人的には懐古趣味は全くないので成田亨のデザインを超えるものが見たかったんですけど。
特にメフィラスのデザインは最低の改悪と感じました。ザラブは裏面が凹んでる折り紙みたいなデザイン(どうやら裏面がないわけじゃなくて透明ってことみたいだけど)は悪くなかったかな。ゼットンは設定の改変は悪くないですけどデザインとしては論外ですね。
やはり映像作品の中でのキャラクター、モンスター、メカデザインしかしてこなかった人のデザインって感じで残念。

ウルトラマンのデザインのようにそのままリスペクトしてカラータイマーを外し、CGで成田亨のオリジナル原案を再現したように、他の怪獣や宇宙人も当時の着ぐるみの制作技術では不可能だった部分を正す程度でよかったのにな。

なんというか、オタク監督の限界が見えたというところでしょうかね。ただオリジナルに対する愛はヒシヒシと感じられて、特撮好きとしては人々が避難する様子や自衛隊が出動するあたり、ノスタルジーは感じましたし嬉しくなりましたけど、日本の実写映像作品は世界に大きく遅れをとっているのだからガラパゴス的なノスタルジーに浸ってちゃダメなんですよ。
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