想像力の射程
無責任な犬の飼い主のマナー違反から負の連鎖が始まり、幼児の死亡事故に。
冒頭は、強風でなぎ倒された大木が、ベビーカーの母子に倒れかかるショッキングな映像から始まる。
妻夫木聡演じる新聞記者の被害者の父親、加山聡が真実を知るために奔走する。
幸せだった家族を壊した最悪の事故のきっかけは、誰の身近にもありそうな些細なこと。
そこから登場人物達のストレス、思想からのヒステリー、身勝手な行動が絡み合い、負の連鎖が不幸な事件を産み出してしまう。
責任の所在を曖昧にし、勝手すぎる加害者のような登場人物達。
受け入れ拒否をした医師や、役所の人間、大木の調査を邪魔する環境問題の活動家。
酷すぎる。
でも、ありそうな話だ。
そんな中でも唯一、誠意のある人が出てくる場面もあるが、もしも現実にこんな事件が起こったら、それは難しい事かもしれない。
被害者側の聡も似たような事をしているし。
その対比が考えさせられる。
酷いばかりのストーリーのようだが、終盤にやさしさ溢れるシーンがあり、じんわりとした。
脚本が巧みで、キャスティングが豪華。
想像力の射程の狭さが産む悲劇。
良く出来たサスペンス