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列車旅行のすすめのlpのレビュー・感想・評価

列車旅行のすすめ(2019年製作の映画)
4.0
東京国際映画祭にて鑑賞。

コンペ12本目はスペインの『列車旅行のすすめ』。おそらく今作が個人的には今年のコンペラスト!
今年のコンペは脚本の妙を楽しむ映画として、既にフランスの『動物だけが知っている』が高評価を獲得しているけれど、今作も様々なエピソードが複雑に絡む脚本の妙を楽しむ映画と聞いて、期待して鑑賞。
『動物だけが知っている』とはまた毛色の異なる強烈なストーリーを携えた作品だった!

ある列車の中、女性の向かいに男が座る。男は自身が精神科医であることを明かし、過去に担当した患者の話を始めるが・・・。
以上が映画の導入部。ここから映画は奇想天外な物語を描き出す。

男が伝える患者の話を皮切りに、幾つかのエピソードが映し出されるのだけれども、その内容が何れも良く言えば「独創的」。悪く言えば「気持ちが悪い」!
賛否が分かれそうな内容だが、個人的には同じくスペインのアレックス・デ・ラ・イグレシア監督の作品を観ているようで見事に嵌まった。エピソードの激しさに呼応する形で、強烈なショットが随所に挿入される点でも推したい。最初の台詞の段階から世界観を展開してしまう掴みの早さも良い。

映画はラストへ向けてメタ構造も盛り込み、さらに複雑な物語へと昇華していく。しかし、最後まで一定の「分かりやすさ」は担保されており、不思議と話が分からなくなることは無し。この脚本は見事だ。

日本では東京国際映画祭の後も、ラテンビート映画祭での上映が予定されているので、気になる方はぜひ。
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