爆裂BOX

ザ・タイガー!!!の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ザ・タイガー!!!(2014年製作の映画)
3.7
妻を殺されたハンターと妖虎の戦いを描いたタイ産モンスターアクションです。
タイのジャングル奥地にある村で、妖虎に妻を殺されたハンターブーンは、妖虎を追って森に姿を消し、その後も妖虎の犠牲者が続出する中、妖虎を退治する為様々なハンターが集結し戦いを挑むという物語です。
本作の主役である妖虎はその名の通り只の虎ではなく、殺した者に姿を変えられる能力を持っています。妖虎が人を襲うシーンは「こいつが妖虎かな…と思ったらそっちかーい!」というちょっとしたサプライズもあって楽しかったです。人間に化けたら言葉も喋れるけど、直前に言っていたことしか喋れないという設定も面白い。英語もできるのは驚いたけど。また、人間以外にも姿を変えられて、斧使いとの戦いの時に変身するものは、そこでそれに変身するか!と思いましたね。そりゃあのスカーフェイスも止まっちゃうは。背後に妖虎が佇んでいたり、相手の顔のすぐそばまで顔近づけてくる所はホラー感高くて中々怖かったです。口からオッサンの顔出る所もインパクトありました。途中で出てくる中国の古典にあるような半人半獣の姿もインパクトあった。妖虎はCGですが、そのクオリティも高いですね。変身解いて人間に襲い掛かる所も迫力ありました。元々人間に虐待されて、それに耐えかねて人を襲い始めたので、捕食よりも人間に憎悪を抱いて殺すことを目的にしているという背景なので妖虎にも同情できるところはありますね。主人公の奥さん殺したのも自分の仲間殺された復讐だし。ブーンと妖虎が其々の死体の前で同じように慟哭する所も印象的。
妖虎退治に集結するハンター達も、西洋人の密猟者ハンター三人組に中国人の棒術と功夫使うお面被った5兄弟、ムキムキマッチョで愛犬連れた斧使い(愛犬には優しい)、クメール人の黒魔術ハンターと皆キャラ立ってて国際色豊かなのも良いですね。狂言回し的な立ち位置のいつもカメラで写真撮ってる新人レンジャーや、弓術を磨いた主人公の娘、西洋人ハンターと仲良くなって一緒に狩りする村の少年などハンター達以外のキャラも立ってます。
そんなハンター達を妖虎が様々な姿に化けて翻弄して次々倒していく後半の展開も見応えありましたね。仲間に化けているかもしれないというちょっと疑心暗鬼な展開は「遊星からの物体X」ちょっとだけ彷彿した。
主人公と娘が妖虎の元へ向かったところで明らかになるどんでん返しは、薄々予想付いてたとはいえ衝撃はあります。魂を取り込みまくって自分でも自分が何者か分からなくなるところがあったのかな。主人公が森の中で単独行動してるとは言え出番一番少ないなと思いましたがこれで納得。
最後の戦いはアッサリ決着ついた…?と思わせてからの一波乱と主人公の協力もあってとどめを刺す所はアツいな。妖虎にもちょっとは救い欲しかったけど。解き放たれた魂たちが空に帰っていく光景はスピリチュアルでファンタジック。
エンドロールで途中で会話に出てきた「火牛」が出てくるのもちょっと嬉しい。本当に火吹いてるんだ。そして乗ってるのはチャートなのかな?彼はモンスター専門のハンターになったのか。
TWA配給でジャケとタイトルから期待はしてなかったけど、思った以上に楽しめる良作モンスターアクションでした。