ラウぺ

ミース・オン・シーンのラウぺのレビュー・感想・評価

ミース・オン・シーン(2018年製作の映画)
3.6
バウハウス第3代校長を務めたミース・ファン・デル・ローエが1929年のバルセロナ万博でのドイツのレセプションホールとして建設した「バルセロナ・パビリオン」を巡るドキュメンタリー。
バウハウス100年映画祭「プログラムC」

モダニズム建築の最高傑作のひとつとして知られる「バルセロナ・パビリオン」はレセプションホールとしての性格上これ以上省略する部分のないほどに単純化された(ある意味では床の間だけで出来た家、といったところ)石と鉄、ガラス張りの平屋の建物で、1929年という時期を考慮に入れなくてもまったく古さを感じない美しい佇まい。
グロピウスから連なるバウハウスのシンプルで機能的なデザインのひとつの到達点を思わせます。
ファン・デル・ローエが設計するにあたり、空間や素材などあらゆる部分に配慮を巡らし、「神は細部に宿る」の言葉通りの完璧な仕事をしていたことが窺われます。

また、1929年というフランコ登場直前のスペインの空気、ナチス台頭著しいドイツの絶妙な時代背景がこの奇蹟の建物を誕生させたことに歴史の偶然を思い知るのです。
1986年の復元の様子も映し出され、その間にフランコ独裁時代のスペインの人々の苦悩があったことを想うと、ファシズムの嵐を挟んでこの建物が同地に復元されたことは大いに意味のあることだと思いました。
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