Jeffrey

呪いの館のJeffreyのレビュー・感想・評価

呪いの館(1966年製作の映画)
3.8
「呪いの館」

冒頭、イタリアの片田舎。グラップス男爵夫人、奇怪な事件、連続殺人、警察署長宛の手紙、検屍官、墓参り、不気味な老婆、宿屋、亡霊。串刺し、叫び。今、呪いを打ち切る為に奮闘する…本作はロマノ・ミグリオリーニとロベルト・ナタールの原案をマリオ・バーヴァが脚色し、撮影アントニオ・リナルディ、音楽カルロ・ルスティケリといった面々で繰り出す傑作ホラーで、この度BD化され初鑑賞したが最高である。

さて、物語は怨霊に呪われた恐怖の町にやってきた男を軸に様々な怪奇が起こる謎の連続殺人事件を描く。



本作の冒頭は1人の女性が叫びながら外を走るファースト・ショットで始まる。そして叫びながら飛び降り自殺をし、落下した場所が鉄の柵があり、串刺しになり静止画になって子供の笑い声が聞こえ、タイトルロゴが出現する。カットが変わり、棺を抱える4人の人間が歩く。それを物陰から見る女性、馬車に乗りながらやってきた老人がその棺を抱える人を見る。そして馬車の中に入っていた若旦那に老人は、これ以上先には行けないと言い、彼をその場で下ろす。そしてここは呪われた町だと伝える。

そして村人たちが呪いを信じる館にやってきたその男が奇妙な体験をしていく…と簡単にオープニングを言うとこんな感じで、窓越しに突如現れるブロンドの少女のショットが芸術性高くて素晴らしい。

少女の裸体にトゲの鎖を巻いて苦しんでいる場面を見つけてお前ら正気か!と言うシーンのおぞましさは恐怖しかない。いかに魔術がくだらないことかがわかる。それと館の中を繰り返しループしていく主人公のポールの怖ばった表情と完璧なまでの雰囲気を醸し出したセットが凄くいい。あと雲の糸と呻き声。螺旋階段を真下から撮ったショットもめまいがするほど画期的で素晴らしい。

それにしても幽霊少女メリッサ役の子役は女の子じゃなくて男の子っていうのだから驚いてしまうよ。どうやら監督が好みの美少女を見つけることができなかったがために苦肉の策として起用したらしいが…。それでも映画全体にかなり馴染んでいるし、真っ白な顔をした金髪のロングヘアの少女が手毬を持って現れるシーンなどぞっとする。それに監督特有の様々な要素が散りばめられていてかなり良い。古城は絶対に欠かせないし、幽霊も殺人も魔女といったものも全て必要不可欠である。


まさにゴシックホラーと悪夢的な幻覚映像がフューチャーしたイタリアホラーの傑作だ。
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