Gan

地獄の黙示録 ファイナル・カットのGanのレビュー・感想・評価

4.5
川を上るに連れ、段々と理性が崩壊し野生になっていく。その到達点にはカーツ大佐が待ち受ける。
終わりは派手に崩壊するのではなく、密やかにメソメソ続く。デニス・ホッパー演じる狂気の報道写真家の発言が、カーツの築いた王国をもって証明される。
撮影秘話含め、狂いまくっている本作。
泥沼のベトナム戦争を、まるで額縁構造のように体現する。誰が誰のために、何のために闘っているのか。監督自身も、何を撮っているのか分からなくなっていたらしい。その踠きがフィルムに克明に映写される。そこに宿る情念は「狂気」という一言で片付けるにはあまりに軽佻。
心の中の矛盾と、二面性の両立。
もはや映画を超越した"何か"であり、作品自体が生き物のように脳に棲み着く。
制作ドキュメンタリー「ハート・オブ・ダークネス」、観るっきゃないよね。
Gan

Gan