toriten45

地獄の黙示録 ファイナル・カットのtoriten45のレビュー・感想・評価

4.1
カンヌ国際映画祭では、未完成の状態で出品されたにも関わらずパム・ドールを受賞したのだそう。

ベトナム戦争が舞台で主人公はアメリカ陸軍のウィラード大尉(マーチン・シーン)。軍上層部から制御不能となったカーツ大佐(マーロン・ブランド)の暗殺という極秘ミッションを命じられ、4人の部下とともに哨戒艇で川をさかのぼってカンボジアのジャングルを奥へ奥へと向かう話。深い奥行きを感じさせるけど話の筋がとてもしっかりとブレなしで真っ直ぐなのがいいですね。戦争モノだけどロードムービーとしての魅力も感じます。

無秩序が生み出す人間の本能的衝動と理性の崩壊を追体験する恐怖と狂気の旅。道中、戦争が作り出すカオスなシーンが次から次へと表れ、そこに正気な人間など存在しません。そして、向かう先のジャングル奥地で自らの王国を築きあげたとされるカーツ大佐の存在感が、ウィラード大尉による淡々とした心のつぶやきのようなモノローグによってバンバンに高められていきます。

「いったい何がカーツ大佐を狂わせたの?」

狂気を生み出す根源を辿るように河を遡って行くのです。それはまるで人間的本能の根源に迫るかのよう。

なんど再鑑賞しても素晴らしい出来に最後まで一気に観れます。
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